マツダ技報 2019 No.36
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]mNeuqroTgarDekarB A [ -111- Linear Actuator Master Cylinder Stroke Simulator Fig. 12 System Scheme (2) 回生協調ブレーキのブレーキフィール Control Module Motor Stroke Sensor Wheel Brakes Piston Seal Fig. 13 Piston Seal Groove (Image) After Higher Pressure After Lower Pressure Previous Generation Models Seal Groove New MAZDA3 (3) 走行抵抗低減 Groove)の形状をキャリパーサプライヤ様と共同で開発しBrake Pedal Piston Fig. 14 Improvement of Brake Drag Torque ブレーキによる走行抵抗の低減は環境性能との両立を達成する上で大きな課題の一つである。一般に,ディスクブレーキでは非制動時にもブレーキパッドとブレーキディスクがわずかに接触しているため,ごく微小な制動力が発生し走行抵抗となっている。また,強めのブレーキをかけた後はブレーキパッドとブレーキディスクのクリアランスが小さくなるため,走行抵抗が増大する。一方で,このクリアランスが大きくなると,ブレーキの遊びストロークが増大し,ブレーキ踏み始めのフィーリング悪化を招く。このクリアランスを常に適値に保つため,キャリパーのピストンシールとピストンシールが収まるシール溝(Seal た。具体的には,ピストンとピストンシールの摩擦係数が安定するようピストンシールの表面粗さを決定した。また, シール溝の形状を,Fig. 13のA部に示すようにラウンドさせることでピストンシールの変形量を低液圧から高液圧までコントロールし,ピストンクリアランスを安定させた。 その結果,ブレーキ踏み始めのブレーキフィールを損なうことなくFig. 14に示すように走行抵抗低減を実現し,燃費改善,排出CO2の低減に貢献した。 マツダ技報 No.36(2019) この問題を解決するためには,回生ブレーキトルクの変動量に応じて摩擦ブレーキのトルクを自動的に増減し,ドライバーが意図する制動トルクとトータル制動トルクを一致させる必要がある。しかし,従来の液圧制御システムでは液圧を変化させるとブレーキペダルの踏み応えに違和感が発生してしまう。このため,新型MAZDA3ではM Hybrid搭載機種専用の回生協調ブレーキシステムを新たに開発した。そのシステム模式図をFig. 12に示す。 このシステムでは,マスターシリンダー及びストロークシミュレーターでブレーキペダルの剛性感を形成し,ストロークセンサーにて検出したブレーキペダルのストロークに応じた液圧をリニアアクチュエーターで発生させ,ホイールブレーキに発生する摩擦ブレーキトルクをコントロールしている。つまり,ドライバーが操作するブレーキペダルと液圧発生源とが機械的に独立しているため,制動中にコントロールモジュールが液圧を変化させてもブレーキペダルのストロークが変化せず,ドライバーが感じている踏み応えは全く変化しない。 回生協調ブレーキにおいても,実現するブレーキフィールはVBシステムと同一であることを目指した。その手段として,まずストロークシミュレーターの静的なペダル踏力とペダルストロークの関係(F-S)をバキュームブースター仕様のF-Sと等価に設計し,次にFig. 7,8に示した減速度特性に沿うように,ペダルストロークと液圧の関係をプログラムした。

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