マツダ技報 2019 No.36
124/321

-115- Fig. 9に示すドアからボディー前方側への荷重伝達にら2面接合構造とし,更に,ドアヒンジも高張力鋼板に変(Fig. 7)。これら2つにより,シートベルトが自然に骨 また,Bピラーやルーフ,サイドシルの断面は,座屈Fig. 8 Load-Path for Side Crash 方向や位置からの衝突エネルギーをしっかりと受け止めながら,キャビンの変形を最小限に抑える車体構造を軽量化と両立させた。従来の考え方で側面衝突時の車体変形の抑制を追求すると,Bピラーやルーフ,サイドシルの強化の必要があり,軽量化にも限界があった。そこで新型MAZDA3では,車両前後方向への荷重伝達比率を高め,従来は側面衝突時に大きく機能していなかったAピラーとCピラーに荷重を分散する考えを新たに採用し実現した。 重要なドアインパクトバーの締結部は,従来の1面接合か更して強固にした。また,Cピラー部のリアボディー内部には,ボディー後方側へ伝達させた荷重をしっかりと受け止め,ルーフやサイドシルへ荷重伝達させるために,レインフォースメントを設定した。 変形しやすい部分に稜線を設定し(Fig. 10),追加の補強部品なしで,素材そのものの強さを最大限引き出す断面形状の工夫により,強度と軽量化を両立した。 3.1 側面衝突時の車体骨格構造 マルチロードパスを進化させ,側面衝突のさまざまな(Fig. 8),側面衝突の安全性能向上と軽量化の両立をFig. 9 Front Door and Rear Body Structures 2.2 前面衝突時の乗員保護装置 (1)SRSエアバッグシステム,シートベルト Fig. 5 Driver Knee Air Bag (2)ラップアンカー付き新型サブマリン抑制シート Fig. 6 Seatbelt Lap Anchor Fig. 7 New Seat Structure & S-Shaped Alignment of Spine マツダ技報 3. 側面衝突性能開発 No.36(2019) 新型MAZDA3では,運転席&助手席エアバッグ,カーテン&フロントサイドエアバッグを標準装備した上で,膝前周りに展開する運転席ニーエアバッグをマツダで初めて採用した(Fig. 5)。ニーエアバッグにより,衝突時に乗員の前方移動を抑えることで腰ベルトにかかる力を低減し,胸部や腹部の傷害軽減を実現し,同時に脚部の傷害も軽減した。 新型MAZDA3では,前席シートベルトのラップアンカー部をシートに取り付ける構造とした。これにより,シートを前後に動かしたどの位置の乗員に対しても,腰に掛かるベルト角度を最適にできるため(Fig. 6),ベルトのたるみが最少となり,衝突時のより素早い乗員保護を可能とした。また,人間研究(2)を元に骨盤を前傾させ,自然なS字アライメントを作り出せるシート構造を,シートクッションとシートバック形状の工夫で実現した盤にかかり易くなり,サブマリン抑制の効果を向上させるとともに,正しい姿勢で着座でき,より「人馬一体」を感じられるシートを実現できた。

元のページ  ../index.html#124

このブックを見る