マツダ技報 2019 No.36
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-116- 3.2 側面衝突時の乗員保護装置 新型MAZDA3では,高齢者の人体特性の研究を基に, 4.2 低速時の後突頚部傷害緩和フロントシート 新型MAZDA3では,頚部傷害を抑制するために,フロFig. 10 Structure Concept Fig. 11 Side Air Bag Concept 4.1 後面衝突時の車体骨格構造 新型MAZDA3では,時速80km/hで車両の70%に可動Fig. 13 Performance of Rear Frame-Energy Absorbing Fig. 12 Rear Frame Deformation 特に骨折傷害を受けやすい肋骨部を保護するために,サイドエアバッグの内圧の最適化をはかった。バッグ前部は内圧を低くして硬度を下げ,バッグ後部は内圧を高めにして硬度を上げることにより,肋骨への負荷を減らしつつ,比較的耐性の高い背骨を主体にしっかりと体を保護できる構造とした(Fig. 11)。 バリアが追突する衝突モードでも,衝突後に後席のドアが開扉できるようにキャビンは強固な骨格で構成し,荷室空間は高効率に衝突エネルギーを吸収できるフレーム構造を新たに採用した。 衝突後のキャビンの確保のために,ドア開口部を中心に連続化されたフレームワークと超高張力鋼板の多用化により,従来よりも客室の強度を向上しつつ質量増加を抑制した。 一方で,荷室空間を高効率にエネルギー吸収させるために新型MAZDA3では,衝突時のリアフレームを従来の曲げ変形から蛇腹変形にコントロールした(Fig. 12)。 この蛇腹変形を実現するため,長いリアフレーム断面の長辺と短辺,板厚から蛇腹変形させる周期を計算し,それに逆らわない様に,フレームの側面と下面に起点となるビードや穴を配置すると同時に,フレームに締結される周辺部品のレイアウトや締結位置を見直した。更に,ねらいの蛇腹変形実現のため,リアフレームの部品成型過程で生じる板厚変化や加工効果を考慮した高精度CAE技術で最適なフレーム形状を決定した。これにより,車体変形の単位長さ当たりの吸収エネルギー効率は,約2倍を実現している(Fig. 13)。 ントシートを進化させた。後突された際には,シートバックの後傾によるヘッドレストの後退量を抑制し,ヘッドレストによる頭部の保護性能を高めるとともに,シートバックが後傾してから元に戻る反発時の頭部の振られ挙動を抑えることが重要である。 そのため,シートバックの後傾特性をFig. 14に示すように,前半はより強度を高め,後半は反発量を抑制した。 ヘッドレストの後退量抑制は,スライダーの支持構造やリフターブラケットの支持位置変更などで全体剛性を高めるとともに,シートスライダー内の部品間の隙を最4. 後面衝突性能開発 マツダ技報 No.36(2019)

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