マツダ技報 2019 No.36
126/321

-117- 具体的には,Fig. 16に示すように,脚部の膝を中心に 5.2 脚部保護 歩行者脚部の傷害を低減するためには,フロントバンFig. 14 Seat Back Moment Strength 5.1 頭部保護 歩行者の頭部の傷害を低減するには,フードからエンFig. 15 Hood Structure Fig. 16 Lower Leg Concept 参考文献 MAZDA3の成果を基に,より高い衝突安全性能開発を進(1)河村ほか:曲げ変形における高エネルギー吸収フレ(2)Izumiyama, T. et al., The Analysis of an Individual Difference in Human Skeletal Alignment in Seated Posture and Occupant Behavior Using HBM, IRCOBI conference, 2018 上脚と下脚が「弓なり」にしなると,膝じん帯に大きな傷害を与えてしまうため,上脚はフェイスアッパー,下脚はロアスティフナ―で受け止めることで脚部が弓なりになることを防ぐとともに,初期のエネルギー吸収効率を高めることによって,脚部保護に必要な空間を最小で,歩行者保護性能向上を実現した。 本稿では,新型MAZDA3の衝突安全性能の開発概略について紹介した。デザインや環境性能など車に求められるニーズが更に多様化する中,市場におけるさまざまな事故・傷害形態の分析と人間研究を軸として,新型めていき,今後もお客様により良い商品を提供できるように努力する所存である。 ームの開発,マツダ技報,No.33,pp.118-123 (2016) 5. 歩行者保護性能開発 マツダ技報 6. おわりに No.36(2019) 小化し,反発抑制は,クッションサイドフレームの変形をコントロールするビードを設定するなどで実現した。 ジンなどの硬い部品までの空間を確保する必要がある。新型MAZDA3では低フードデザインを実現するため,フードインナーのフレームワークを一から見直し,頭部保護に必要な空間を最小にした。 具体的には,Fig. 15に示すフードインナー形状とすることで,走行時のフードの浮き振れや張り剛性などの基本剛性は確保しつつ,頭部がフードに衝突する初期のエネルギー吸収を高め,衝突後半では頭部を柔らかく均一に受け止める構造を実現した。 バーからバンパービームまでの間にエネルギー吸収する空間を確保する必要があるが,新型MAZDA3ではショートオーバーハングのデザインを実現するため,バンパーの上部と下部のロードパスを軽衝突との整合を含めて見直した。

元のページ  ../index.html#126

このブックを見る