マツダ技報 2019 No.36
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Hole for Harness Fig. 10 Expanded Woofer Box by Cowl-Side Structure Expanded Woofer Box -123- 3リットルウーファーで前世代商品群に比べ量感も応答性 この3リットルのバスレフ型ウーファーで可能な低域再Fig. 11 Relation of S.P.L @ 60Hz and 100Hz Fig.11は60Hzと100Hzでの音圧レベルを予測したグラフHinge Pillar Inner Rear Harness Fig. 12 3L Woofer Box Sample Fig. 13 Tweeter Location bass amplification. ができた。これは,剛性の高い専用エンクロージャにより,箱の共鳴を抑えたことで入力電気信号に対する音響再生の応答性が良くなった結果と考えている。この試聴結果からも良い低音を再生できると判断した。 Sample Box (3 liters) は前述のとおり直接音重視で配置することを前提にした。更に,音楽を聴く上で重要な要素である定位感,広がり感も視野に入れ配置場所を検討した。そのために,乗員耳位置を中心に距離,高さ,角度の条件を設定し,デザイン造形と音響性能の両立できる場所を模索した。 ツィーターはAピラーとセールガーニッシュ二つの候補場所があったが,デザイン造形,視認性,デミダクトの晴れ性能に影響を与えず,乗員方向に向けて配置できるセールガーニッシュを選択した(Fig. 13)。 スコーカーは,配置可能な空間があるドアでデザイン造形,遮音構造と音響性能の両立できる場所に配置した。 デザイン造形と音響性能の両立:音響性能の視点だけでスコーカー配置を考えると,耳の高さに可能な限り近い位置で,音像が偏らないよう聴取者から適度に離れた位置に配置することが重要である。更に,フロント用スコーカー設置場所は音像定位を考慮するとツィーターに近い方が良い。しかし,その位置ではインストゥルメントパネルからドアに続くデザイン造形に対する影響が大きい。そこで,デザイン造形を崩さず音響性能が成立する位置としアームレスト前付近に配置した(Fig. 14)。 4.2 中高域再生用スピーカーの配置 中高域再生用スピーカーとなるツィーターとスコーカーマツダ技報 Tuning port ※This port controls No.36(2019) ナーの車室外側移動,②HVACの小型化,③ハーネス経路変更,④インストゥルメントパネル搭載冶具の小型化。そして,ヒンジピラーからドアへハーネスを貫通させるための開口穴も利用し,ヒンジピラー内部にボックスを拡張した。これらの施策により,カウルサイド上部に3リットルバスレフ型ウーファーを配置できる空間を確保した(Fig. 10)。 生能力を検証した。可聴限界である20Hzから再生させることが理想ではあるが,3リットルでは現実的ではない。そこで,低域の量感を感じやすい帯域である60Hz~200Hzに焦点を当て,低域再生することにした。それから,ボックス容量の影響を受けやすい60Hz~100Hzの音圧レベルを予測して低域再生能力を見極めることにした。 である。3リットルでは10リットルのバスレフ型ウーファーとは10dBSPLの差はあるものの,マツダが必要としている音圧レベルである95dBは再生できることが予測できた。口径は10cm-13cm程度のサイズが最適であると判断した。 机上検証の結果を踏まえて試作品ウーファー(Fig. 12)を製作し,実車による聴感評価を行った。結果として,低音の量感は十分に得られていることを確認できた。更に,専用エンクロージャを持つウーファーは,従来のドアマウントのウーファーに比べメリハリのある低音を再生すること

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