マツダ技報 2019 No.36
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SBS ・ ・ -132- Recognition Driver Monitoring Camera Detect face, eyelid, gaze, Fig. 2 System Architecture 5.1 ドライバーモニタリングカメラ カメラによる顔映像からの瞬目活動や視認行動のセン4. システム構成 5. センシング Judgment ECU Estimate drowsiness Judge alarm Detect inattentive Judge early alarm Operation Alarm Unit Display warning Sound beep LEDを利用している。この時,ドライバーを照らす近赤Camera Fig. 3 Driver Monitoring Camera ドライバー・モニタリングのシステムは,ドライバーモニタリングカメラ,眠気・わき見検知等を実行するための電子制御ユニット(ECU),及び警報ユニットで構成される(Fig. 2)。 車室内に搭載されたドライバーモニタリングカメラにて,ドライバーの顔表情をとらえる。そして,その情報を元に眠気を検知し,眠気の亢進よりドライバーがリスクに近づいていると判定した場合は,メーターに休憩を促す表示を行い,かつ警報音を吹鳴する。また,眠気・わき見を検知した際に,衝突のリスクが迫っていた場合は,スマート・ブレーキ・サポート(SBS)の警報を早期化することで,ドライバーにいち早くその状況を知らせる。 これらの機能について,詳細を以下に述べる。 シングに必要な要件として,以下の3点が挙げられる。①昼夜を問わずセンシングできること,②瞼や視線の動きをとらえられる位置に配置すること,③瞼や視線の動きをとらえるために十分な空間分解能・時間分解能を満たしていることである。 上記の要件を満たすシステムとして,近赤外領域のカメラとLEDから構成されるドライバーモニタリングカメラを導入し,センターディスプレイに配置した(Fig. 3)。 ①昼夜を問わずセンシングできるという要件に対して,通常の可視光領域ではなく,近赤外光領域の感度を高めたカメラを利用することにした。また,外光に影響を受けずドライバーを照らすために,近赤外光を発光する外光領域として,乗員に目視されず,太陽光に含まれる近赤外線の影響をできるだけ排除するために,スペクトル強度が低い波長帯の940nmを採用した。 ②瞼や視線の動きをとらえられる位置に配置するという要件に対しては,センシング対象であるドライバーの目がまつ毛や前髪によって隠れないように,カメラを目の高さより少し低い場所に配置した。その上で,クルマのインテリア(ハンドル等)やドライバーの運転中の行動によりセンシング対象が遮蔽されにくい,センターディスプレイに内蔵することとした。 ③瞼や視線の動きをとらえるために十分な空間分解能・時間分解能を満たしているという要件に対しては,眠気・わき見検知モデルの特性から,必要な空間分解能・時間分解能を検討し,決定した。カメラの解像度は,センターディスプレイに配置した場合も,ドライバーの顔・瞼・視線・口等を撮影できる必要がある。また,カメラの処理能力は,ドライバーの瞬目活動や視認行動を一定間隔でセンシングできる必要がある。 これらの要件を満たしたカメラを用いて,いかなるドライバー,いかなる運転シーンに対してもロバストにセンシングできるよう,性能改善に取り組んだ。具体的には,まず,センシングアルゴリズムの特性から,ドライバーの外見(人種,年齢,ヘアスタイル,アクセサリ,化粧など)やドライバーの行動(ドライビングポジション,安全確認行動など),運転シーン(走行場所,走行時間帯など)を誤差因子として抽出した。更に,リスク分析の手法を参考に,誤差因子ごとに影響度と発生頻度を検討し,重要度を整理した。その上で,これらの誤差因子に対してロバストなアルゴリズムとなるように,評価・検証を繰り返した。その結果,さまざまなドライバーの外見や行動,運転シーンへ対応した。 マツダ技報 No.36(2019) LED

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