マツダ技報 2019 No.36
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-134- (Attention)段階では,眠気が亢進し今後事故が生じる6. ドライバーへの働きかけ Optimum Distance That Depends On the Vehicle Speed Driver's Vehicle Fig. 5 Forward Area That Depends on the Vehicle Speed and Curvature Radius Low Speed High Speed Fig. 6 Field of Vision That Depends on the Vehicle 6.1 眠気に応じた警報 ドライバーの眠気の状態に合わせて最適なタイミングForward Area Curvature Radius Gaze direction Field of Vision Gaze direction Field of Vision Speed Fig. 7 Examples of Alert Display and Sound (Left: 6.2 スマート・ブレーキ・サポート(SBS)連携 「2.1 事故の実態」で言及したとおりに,ドライバーAlarm Stronger Alarm Attention, Right: Warning) れていて,かつ,前方に注意を向けようとする眼球運動がみられた場合には,わき見として検知しない。 上記の考えに基づいて開発したわき見検知モデルを,さまざまなドライバー(人種・性別・年齢など)が,さまざまな交通環境(国内外の高速道路・住宅地など)を実際に走行したデータを用いて評価した。 で警報を行うことで,人間の感覚に合いなおかつ煩わしさを感じさせることなくドライバーに休憩を促す機能の実現を目指して開発を進めた。 上記に基づき次の2段階の警報を設定した。注意喚起おそれがある状態を検出し,休憩を促すための警報を出力する。また,警告(Warning)段階ではいつ事故が生じてもおかしくない状態を検出し,休憩を促す。警報は,各警報段階に応じて設定したメーター内の表示と警報音でドライバーに伝える(Fig. 7)。 警報の出力は,検知した眠気レベルの推移から判定する。警報出力判定の基準は,国内外の公道走行データに顔表情評定を用いて眠気の正解値をタグ付した結果を解析し,眠気の推移や変動のパターンに基づいて決定した。警報が主観的な眠気と合致しない場合ドライバーに煩わしさを感じさせるおそれがあるため,眠気レベル検知結果から最適なタイミングで警報出力判定がなされるように判定基準を調整した。 が正面を注視していないことが,多くの重大事故の発生要因となっている。しかしドライバーが正面を注視していないことを検出するたびに警報を出すことは適切ではない。そのため,対象物への衝突の可能性があるときに,ドライバーが正面を注視していないと判断した場合は,通常より早期に衝突警報を行うことで,ドライバーにいち早く危険な状況を気づかせ,安全運転をサポートする機能を搭載した。 具体的には,衝突の可能性がある状態まで先行車や障害物と接近した場合(Fig. 8)に,前方不注意状態(眠気やわき見を検知)であれば,警報とディスプレイの表示で,ドライバーに衝突の危険性を早期に知らせ,ブレーキ操作を促す。この機能により,発見の遅れによる衝突事故を低減する効果を更に高めることができる。 マツダ技報 No.36(2019)

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