マツダ技報 2019 No.36
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deepS rooM Washer Nozzle on Wiper Arm t -146- この視界妨害とウォッシャー液の無駄はFig. 6のよう 3.2 Aピラー部の視界 オーバーランによるAピラーとの干渉を回避するため, Aピラー側反転位置にはワイパーが掻きあげた水が溜が0となる。それらを考慮しねらいのモーター速度として3. 実現手段 Bonnet Wiper Arm Fig. 5 Previous Washer System Fig. 6 New Washer System 3.1 優れた払拭性 ワイパーは外部に露出した機構部品であることから走Washer Nozzle Washer fluid Washer fluid Windshield Wiper Blade Fig. 8 Wind Stream Line of All-New Mazda3 (1)Aピラーに溜まった水によるスリップ対応 Accelerating Deceleration MOTOR ANGLE (deg) Fig. 7 Speed Map of Motor Fig. 9 Wiping Area 従来,マツダで採用してきた一般的なウォッシャーシステムは,Fig. 5のようにガラス面の広範囲にウォッシャー液を散布した後にワイパーで拭き取る構造としており,ウォッシャー液による視界妨害と無駄なウォッシャー液の消費があった。 にウォッシャー液とブレードの距離Lを最小化することでなくすことができる。ウォッシャーノズルをアームに設定し,アーム位置情報を基に,ウォッシャー液を噴射させる機能の追加によりこれらの課題を解消することができる。 上記のように用途や環境に応じてワイパーの位置をコントロールすることが広い視界を実現するために重要である。したがってワイパー位置を広い視界の実現において注力する制御因子とした。 行風をはじめとして変化する作動抵抗を常に受けている。流体潤滑では作動速度の変化により水膜厚は変動するため,モーターの速度コントロールではこうした外的な作動抵抗を高精度に検出し,作動速度を変化させることなく出力制御する必要がある。一方,ワイパーはガラス面上で扇状の搖動運動をしているため反転位置で必ず速度は,Fig. 7のように通常払拭域の速度を極力一定にするとともに,反転位置からの加減速区間の最小化を行った。加減速区間においては急激な変化が異常挙動とならないよう車両で確認しながら最終値を決定している。 速度はモーター内のセンサーマグネットによる3相のパルスを基に換算している。これら情報を基に内マイコンによるフィードバック制御によってねらいの速度に補正させている。 また走行風による作動抵抗の急激な変化を生じないようにするためにアームの形状,配置の見直しを行い,アーム周りの整流化をおこなっている(Fig. 8)。 新型MAZDA3のワイパーでは以下2つの対応を行った。 これらにより反転位置でのAピラーとのクリアランス縮小を可能とし,拭き残しをブレード先端で従来車比最大約15mm低減させている(Fig. 9)。 まる。少雨環境下では溜まった水の影響で反転位置付近のみ摩擦抵抗が低くなり,機構的な弾性変形,制御上のマツダ技報 No.36(2019)

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