マツダ技報 2019 No.36
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特集:新型MAZDA3 24 *1 統合制御システム開発本部 Intgrated Control System Development Div. -149- New Vehicle Control System for All-New Mazda3 新型MAZDA3の車両電子制御システム Summary We continue to evolve to further enhance customer relief, safety and comfort. To support this evolution, Key words : Electronics and Control, Integration Control/Vehicle Body Control, System Engineering, 要 約 (Fig. 1)。 の開発に取り組んだ。 システムを一括で追加するということは,機能を構成する要素,入力・処理・出力全てを,機能ごとに車両搭載するということである。 従来のシステムによる機能実現は,スイッチ入力と車両動作を行うアクチュエーター制御の出力がダイレクトに接続される単純な構成で実現されていた。しかし,近年のシステムは高機能化を実現するために,処理部の電子制御化が必須となっており,システム追加時には,マイコンを搭載したECUを搭載しなければならない形態となっている薬師寺 英明*1 Hideaki Yakushiji ECU(Electric Control Unit)に集約した新たな車両電子制御システムを開発した。新型MAZDA3で実現しrealization of complicated processing to connect the entire vehicle is required as well as substantial addition of functionalities for vehicle control. We developed a new vehicle control system integrating information/processing required for vehicle control into ECU (Electric Control Unit) for further vehicle evolution in All-New Mazda3. We will report on this integration of the vehicle functions and vehicle electronic control system. Vehicle Development, Platform, Design Optimization/Robust Design 1. はじめに マツダ技報 2. 従来開発の問題点 No.36(2019) マツダは,お客様の安心・安全・快適を更に高めるべく,クルマを日々進化させ続けている。その進化を下支えする車両電子制御においては,大幅な機能追加に加え,車両全体が連携する複雑な処理が必要不可欠となっている。 新型MAZDA3では,今後の車両進化の加速に対応するために,車両電子制御に必要な情報・処理を頭脳た車両電子制御システムについて,車両電子制御の機能集約の視点での進化を報告する。 マツダはお客様に安心・安全・快適に走る歓びを提供するために,電子制御機器を実現手段とする機能を開発し市場導入してきた。今後,クルマの更なる高機能化は必須であり,電子制御機器の技術進化を取り入れ,安価で高品質な新機能をタイムリーに市場導入しなければならない。 これまで,電子制御機器によって実現される新機能の多くは,個別に開発したシステムを一括で車両に追加搭載する方式を採ってきた。この開発手法のメリットは,システムの一括追加により,従来車両の機能アップが容易に実現できることである。しかし,昨今の機能の多様化・機能の複雑化により,従来手法の抱える問題点が顕在化してきた。新型MAZDA3の開発においては,従来の開発手法における問題点を解決すべく,新たな車両電子制御システム及び, システムの中心となる頭脳ECU(Electric Control Unit)

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