マツダ技報 2019 No.36
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旧MAZDA3ではADAS専用のECUを設けていたが,ECU-152- 5.3 ソフトウェアアーキテクチャ 多くの機能を平行処理しつつ,継続的な機能追加・機能(Body Control Module)の詳細について説明する。 *1 AUTOSAR規格で規定されている,アプリケーショ5. MAZDA3 BCMの開発 6. 今後の課題 Fig. 7 Outline of BCM 5.1 車両電子制御情報の集約と情報ゲートウェイ 機能ドメインごとのCAN通信系統との接続と,今後のBSW(Basic Soft Ware)*1を実装することにより1ms以*2 通信で使用する情報の暗号と復号化をハードウェア*3 ISO11898-2 2016 にて規定されている従来のCAN5.2 機能処理部 機能最適化により集約された多量なボディー制御機能Fig. 8 Software Architecture (1) 次に車両電子制御システムの頭脳ECUであるBCM通信系統の増加に備え,CAN通信の入出力は10系統とした。 また,セキュリティ対応として車両外から車両内の情報に容易にアクセスできないよう,車両電子制御に必要な情報のみ車内通信が可能な情報ゲートウェイ機能を実装した。 異なるCAN通信系統間の情報伝送時間は,車両電子制御に影響が出ないよう,情報ゲートウェイ機能に特化した下を実現した。 更に,今後の車種搭載においても,長期間使用できるよう,HSM(Hardware Security Module)*2やCanFD*3を予約設計として搭載することで,将来の通信情報量の増加やセキュリティ性の向上に追従可能な設計とした。 ンを動かす為の必須サービス(通信,情報ゲートウェイなど)を提供/実現するソフトウェアモジュール。 (本項では通信用の電子デバイス)によって高速処理するためのモジュール。 通信の通信速度高速化と情報密度向上により,従来CANより多量の情報通信と可能とした通信規格。 の処理・調停を機能ごとに許容された時間内で行う必要があるため,BCMは旧MAZDA3搭載のBCM比で4倍の処理能力をもつ高性能マイコンを採用し,処理時間の要求を解決した。 これに加え,ADAS機能制御を行うマイコンも搭載した。統合により機能的な統合はできていないが物理的な無駄を削減した。 間連携による複雑な機能を実現するためには,機能ごとのモジュール化とモジュール間の相互通信機能の仕組みが必須となる。 加えて,機能安全規格に対応するためには,機能的な安全やフェールセーフの堅牢性を担保することが必須となる。これら必須の要件を実現するために,ソフトウェア上に実装される機能の独立性及び,機能モジュール間における相互通信の安全性を確保したソフトウェアプラットフォームを使用した。 具体的には,車載ソフトウェアの階層化構造であると機能安全規格に準拠したOS(Operation System)を開発し,BCMに搭載した。 新型MAZDA3の車両電子制御システムとBCM開発を通じ,頭脳ECUを中心とした車両電子制御システムを実現することができた。一方,明らかになった課題もあり,以下の課題解決活動を行っていく。 技術の手の内化を実施した。 今回,機能の最適化に注力したため,機能のモデル化は一部にとどまった。今後,手の内化済の機能から優先的にモデル化への取り組みを行っていく。モデル化による効果は,モデルから生成されたソフトウェアを実機搭載していくことで,仕様検討から実装までの開発期間の短縮化が図れ,機能開発全体の効率化を加速することができる。 今回対象外とした機能ドメインについては,個別に手の内化を進めており,これらの領域についても機能最適化を検討していく。 AUTOSAR(AUTomotive Open System Architecture)6.1 技術の手の内化継続 新型MAZDA3の開発においては,ボディードメインのマツダ技報 No.36(2019)

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