マツダ技報 2019 No.36
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-153- ■著 者■ 薬師寺 英明 6.2 車両電子制御システム開発構想の進化 新型MAZDA3の車両電子制御システムの完成によって,6.3 大規模システム開発のマネジメント力強化 新型MAZDA3ではBCMに多くの機能を集約したことで,(1)AUTOSARにおける「Safety, Security」に対するhttps://www.ipa.go.jp/files/000036229.pdf 7. おわりに 参考文献 マツダ技報 No.36(2019) ボディードメイン機能を最適化した。今後は,電子デバイスの進化動向を見据えながら,システムの更新を続けていく。 入力・出力部品のシンプル化は,現状最善の結果となっているが,さらなるシンプル化を行っていく。具体的には,高機能化したICとアクチュエーターを開発することで更なるシンプル化を達成することができると考える。 頭脳領域においては,自動運転などの更に高度で複雑な機能の導入は確実であり,今回開発したBCMでは処理能力の不足に陥ってしまうことが予測される。新機能のニーズとその導入時期,マイコンの技術進化を見据え,無駄なくタイムリーに頭脳部の更新を行っていく。 機能開発工数がBCMに集中した。その結果,ボディードメインの車両電子制御ECUとしては,過去最大規模の開発人員及び工数を投入せざるを得なかった。 その対応として,情報通信機器などで主流となっている大規模ソフトウェア開発手法とプロジェクトマネジメントを効果的に取り入れる。そのねらいは,効率的な目標設定と目標達成計画の策定及びリスク・リソース・納期管理の徹底により,いかなる大規模システムの開発にも適応できる開発力の会得と,その定着である。 新型MAZDA3で新規開発した車両電子制御システムは,今後,マツダが実現したい機能を効率的かつタイムリーに具現化する技術基盤として,以降の車両においても随時導入していく予定である。 今後の開発活動では,本システムの更なる進化を図り,マツダらしい車両電子制御の具現化とタイムリーな市場投入を実現していく所存である。 最新動向&事例紹介

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