マツダ技報 2019 No.36
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*1 技術本部 -154- 特集:新世代商品群の生産技術 1. はじめに Development of Mass Craftsmanship Production System マス・クラフツマンシップへの変革 Fig. 1 Business Efficiency Craftsmanship(職人技の量産化)」の実現に取り組んでいる。本稿では,この概念と具体的な取組みを紹介する。 industries such as IT companies, to meet drastic change of customers use and demand value, as typified by Autonomous driving and Car-sharing service. In this situation, to sustain as small-scale car company, Mazda is required high-added value and niche product based on brand building strategy. In the production engineering area, we, to improve “Business Efficiency = Value / Cost” (E=V/C), are addressing to achieve “Mass Craftsmanship” production system pursuing concurrent evolution of functional & emotional value. We would like to introduce “Mass Craftsmanship” concept and approach in this report. Press Technology, Skill, Robust Quality Engineering Production Engineering Div. Summary Car companies are required to execute extensive technology development with non-automotive Key words : Production・Manufacture, CAD/CAM/CAE, Design, Paint, Machining, Material, CAE, 要 約 安達 範久*1 Norihisa Adachi 近年,自動運転やカーシェアリングなど,お客様のクルマの使い方と求める価値が急激に変化しており,その対応には,IT関連などのこれまでの自動車以外の技術と融合した大規模な技術開発が必要となってきている。この状況の中で,自動車メーカーとしてスモールプレーヤーであるマツダが生き残るためには,ブランド構築を核とした高付加価値&ニッチ戦略が必須であり,生産技術は,ビジネス効率 = 価値/コスト(以下“E=V/C”)を向上させるために,機能的価値と意味的価値の同時進化を目指した「Mass マツダは,クルマを通じてお客様に人生の輝きを提供することを目指して,「魂動デザイン」「人馬一体」「燃費」を継続的に進化させたクルマの開発に取り組んでいる。近年は,IT技術の進化や交通インフラの発展を背景に,電動自動車,コネクテッド,自動運転,ライドシェアリング,カーシェアリングなどが急速に普及しつつあり,お客様のクルマとの接し方と使い方の変化に伴って,クルマに求められる機能と価値が急激に変化している。これに対応するには,従来の自動車関連以外のIT企業や電機メーカーなどと連携し,クルマのハードとソフトの両方を,多大な投資と期間をかけて開発することが必須となる。このような自動車の大きな変化の中で,スモールプレーヤーとして生き残るためには,他社とは異なる,商品とモノ造りへの変革が急務である。従来の大量生産技術を超えて,ブランド構築を核とした高付加価値&ニッチ戦略が必須であり,自動車の機能の変革に伴う多大な投資を確保しつつ,モノとしてのオリジナリティと意味的価値を造り込んだクルマを創造することで,お客様に特別な企業であると認識されることが最重要課題である。モノ造りの中核である生産技術は,ビジネス効率 = 価値/コスト(E=V/C)の向上を使命と認識し,これを実現する仕事のやり方への変革と技術開発を,モノ造りのプロ意識を持って愚直に推進している(Fig. 1)。 マツダ技報 No.36(2019) 25

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