マツダ技報 2019 No.36
169/321

(Fig. 4)。 -160- Fig. 1 KODO Design Fig. 2 Transition of Design Requirement Accuracy Fig. 3 Primary Axis Top End Position = Machining Error Minimization 金型精度を向上させるため,金型加工機械(以下,加工機)の加工誤差要因である①主軸先端位置変位(以下,主軸変位:Fig. 3),②切削異常,③刃物異常,④加工原点設定,⑤NCデータ誤差を改善すべく技術開発を行った。本稿では,機械加工誤差の43%を占める①主軸変位を少なくするため加工機械周辺温度環境の改善を実現した取り組みについて紹介する。 5mの2本のコラム(主柱)とクロスレールで門型を構成0.5mと4.5m)と前後の計8箇所に設置し,変位測定はラFig. 4 Processing Machine Heat Displacement 加工機は切削物を段取りするテーブルを挟んで,高さしている。主軸変位とは加工機周辺の温度変化によるコラムのたわみと,主軸が付くラムとテーブルの伸び縮みで主軸先端の位置変位をもたらす現象のことをいう。経験値より数十マイクロメーターの主軸変位があることは分かっていた。そのため,金型を機械加工する場合は複数の工具を使用するが,交換の都度主軸変位に伴う誤差の補正を行っている。しかし,切削中の主軸変位には対応できず,新世代デザインの繊細な曲面を崩す懸念があったため,主軸変位対策が急がれた。 主軸変位は加工機上下の温度差と1日の温度変化が大きく影響することが考えられる。そこで加工機周辺の温度環境と主軸変位量の関係を明確にするため調査を実施した。温度測定は熱電対を加工機のコラム上下(床面からムのX/Y/Z軸に非接触式変位センサーを設置した加工機周辺の温度環境は時々刻々と変わるため,一定期間調査を実施し,そのなかで特に加工機コラムの上下の温度差及び1日の温度変化が大きい日と小さい日を比較検証した。Fig. 5に調査結果を示す。上のグラフはコラム上下温度差と主軸変位の時間変化を示し,上下温度差が大きくなると主軸変位も大きくなっている。下のグラフはコラム上部の温度と主軸変位の時間変化を示し,温度変化の大きい日ほど主軸変位は大きくなっている。以上より,加工機上下の温度差と1日の温度変化が主軸変位に影響を与えていることが確認できた。また温度変化の小さい日は,目標とする主軸変位量以下にも収まっているため,この日の温度環境を年間通じて維持することを目標として設定した。 マツダ技報 2. 魂動デザイン深化に向けた課題抽出 No.36(2019)

元のページ  ../index.html#169

このブックを見る