マツダ技報 2019 No.36
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② 風騒音 b. 8.8インチセンターDisplay ③ 遮音 (3)NVH -8- Fig. 13 Seal Added Inside Parting Line Blocks Gaps (Sedan) a.7インチTFT液晶メーター Fig. 11 Center Meter with LCD Display Fig. 12 Center Display た表示される文字のフォントを統一し,心地よい一体感を表現した。 新型MAZDA3のメーターは,7インチのTFTカラー液晶を採用し,中央部分にさまざまな情報をシンプルかつ集中的に表示することで,瞬間的に情報を読み取ることが可能となった。刻一刻と変化する走行安全に関わる情報を瞬間的に認知できるよう,ドライバーの視野の中心上方に情報を表示。更に警告系のインジケーターやテキストも中央に表示できるため,いち早い異常の認知と,スムーズな安全行動への移行をサポートできる(Fig. 11)。 新型MAZDA3では,センターディスプレイに8.8インチの横長タイプを採用し,ドライバーに対面するように配置することで視認性を高めた(Fig. 12)。また全ての操作をコマンダーコントロールに集約。従来のタッチパネルかコマンダーコントロールという2パターンの操作方法を1本化して,操作体系をシンプル化した。その上で,ディスプレイ表示にコマンダーコントロールの見た目と動きを感じさせる表現を取り入れることで,直感的な操作を可能にした。 新型MAZDA3は人間が音を聴くメカニズムに着目し,静粛性を飛躍的に進化させた。人は「音の大きさ」だけでなく「音の時間的な変化」「音の到来方向」も聞き分けている。音の大きさに加え,音の変化や届き方によって感じる不快感をなくすため,入ってきた音をコントロールすることに取り組んだ。 ① ロードノイズ 新型MAZDA3のロードノイズ対策では,さまざまな工夫による騒音・振動の低減によって,「路面が変化した際の違和感のなさ」に注力。音や振動を限りなく小さくするとともに,その変化をリニアにすることで,乗員を急な騒音で驚かせたりすることなく,安心して快適に過ごせるようにした。荒れた路面からきれいな路面に変わると,走行音は人間の耳に残りやすい高周波になる。路面が変化してノイズの音量が減った分,余計に不快に感じやすくなるため,吸音機能を持たせたフロアマットとトップシーリングでその高周波をしっかりと吸い取ることで,室内に音を響かせることなく,素早く収束させる。逆にきれいな路面から荒れた路面に変わると,今度は急に大きな音となる。この音がダイレクトに伝わらないよう,まずは縦バネのやわらかさを最適化したタイヤで振動を吸収。その上で,タイヤからサスペンションやボディーへ衝撃が伝わる入り口を見極め,そこの剛性をしっかりと高めることで,振動の多くを門前払いしている。この構造が侵入する振動そのものを小さくしているため,乗員が感じるノイズや振動も限りなく小さなものとできている。 新型MAZDA3では,パーティングライン内部にまでしっかりと対策を施すことで,ハッチバックのリフトゲート・セダンのトランク周りの風騒音を大幅に低減。高速走行時に後席乗員が感じる静かさを大きく高めた。 後席周りの風騒音は,ルーフパネルとリフトゲートの間(ハッチバック)またはリアガラスとトランクの間(セダン)のパーティングライン内部に風が流れ込み,渦となることで発生する。パーティングライン自体は機能として必要なため,内部にシールを採用することで余計な隙間を塞ぎ,渦の発生を抑制している(Fig.13)。 フロアマットの面積に対して1%の穴があると,遮音性能が30%も失われることが検証でわかった。そこでマットにある穴ひとつひとつの用途を検証し,不要なものを削除。残った穴も,最終的に部品が組み合わさることで塞がるような設計とした。更にフロア面の遮音性能を高めるために,ボディーパネルとマットの間にスペースを設けた「2重壁」構造を採用。フロアマットの裏面の繊維材の量を場所ごとに調整し,フロア全面のどこでも最適な密度となるように造り込んでいる。またドアパネルにマツダ技報 No.36(2019)

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