マツダ技報 2019 No.36
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のMachining areaに設置されている。 -161- 3.2 CFD解析による事前検証 加工機周辺の温度環境は昼夜・四季により刻々と変化3. 課題解決 Fig. 5 Sensing Result Table 1 Target Value Displacement Column Upper and lower temp. difference Daily temp. difference 3.1 課題解決コンセプト 金型加工工場は面積が約10,000㎡と広く,室内温度は15mあるため室内の上下温度差も大きい環境である。従Status Target ― 6G ratio 1/3 Max 10℃ Under 2.5℃ Max 10℃ Under 4℃ O Machining area area Fig. 6 Analysis CFD Model Polishing area Z Y X Fluid Dynamics)解析を更に進化させ,机上で十分に事CFD解析した解析モデルをFig. 6に示す。加工機は中央Maintenance 必要最小エネルギーで加工機周辺空間の温度を均一化させるためには,成り行きでは空気の性質により自然と上下に温度差がつくため空間を上下にかき混ぜる。そして加工機周辺空間の外側空気の影響を受けないよう仮想の壁を作り,空調した空気を循環させて余計なエネルギーを使わないことが有効と考えた。そこで,空調した空気を加工機周辺で動かし,上下の空気をかき混ぜて温度を早く,精度良く均一に維持する。更に外乱に強い循環気流を空調機の風向風速温度を調整することで実現する技術の確立を目指した。 加工機周辺で循環する気流を作るため,加工機の周辺に吹き出し方向が調整可能な空調機を4台設置する構成とし,吹き出し温度,風向,風速をコントロールすることで目標達成を目指した。 する。この中で24時間365日温度環境を維持する方策を実機や試作機を用いて構築することは時間と手間がかかる。そこで,これまで進めてきたCFD(Computational 前検証をすることが重要と考え解析を開始した。今回金型加工工場の熱収支を考えると外気温や日射による熱負荷が支配的であり,これらは屋根・壁等から熱伝マツダ技報 No.36(2019) 更に,作業者に対しての温熱環境も改善させるため,作業位置(FL.+1.5m)で,夏期28℃以下,冬期18℃以上とすることを前提条件とした。主軸変位の改善目標,及び加工機周辺温度の目標値をTable 1に示す。 外気温や日射の影響を受けやすい。また,建屋高さは来技術で室内温度を均一化しようとすると建物全体を全館空調し,莫大なエネルギーを使用することとなる。また,加工機周辺に仕切りを設け,空調空間を極力小さくした場合でも加工機発熱や加工機自体の高さ(5m)を考えると加工機周辺の温度ムラを解消するためには,同様に大きなエネルギーが必要となる。マツダの環境ビジョンにある「豊かで美しい地球と永続的に共存していく未来」を実現するために大空間の中でも加工機周辺の空間だけを必要最小エネルギーで温度均一化することをコンセプトとした。

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