マツダ技報 2019 No.36
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(Fig. 7)。 (Fig. 9a)。 -162- 3.4 上下温度差対策(冷房期の気流検討) 冷房期も暖房期と同様の風向で加工機の周辺を循環す 3.3 上下温度差対策(暖房期の気流検討) 加工機周辺の空気をかき混ぜ,温度を均一化するため 3.5 1日の温度変化対策 1日を通して温度一定に保つため,加工機に設置した温(Fig. 8a)。そこで,空調機からの気流の慣性により加Fig. 7 CFD Analysis IPO Model CFD解析で精度よく再現できるようになった後,魂動デり2か所を下向き45度にして,上向きの気流が周辺空気Fig.8a Fig. 8 Air Flow in Winter Fig.9a Fig. 9 Air Flow in Summer Fig.8b Fig.9b 小限のエネルギーで温度均一化できることも確認できた。 る気流をねらいCFD解析を実施した。しかし,加工機上部の発熱源が循環気流を温めることと,下向きの冷気が床付近に滞留し,ねらいどおりの気流とならなかったそこで,空調機の風で強制的にかき混ぜるだけではなく,冷たい空気が下降する性質も利用し,空調機からの冷気が加工機の上から下へ降りてくるような気流を考えた。その気流が加工機上部の発熱源を直接冷却するとともに,加工機上部の熱い空気との仕切りを作る効果をねらい,空調機の風向を4台とも加工機の上部付近に設定した(Fig. 9b)。 工機を包み込むように降りてきて温度を均一化していることを確認できた。暖房期と同様に風向や風速,温度を変化させ,気流の挙動を確認しながら,よりよい気流を作り込んだ結果,加工機上下温度差が2.2℃となり目標のこうして,季節ごとに気流を調整することで加工機周辺の温度を効率的に均一化する運用計画を立案した。 度計で空調吹き出し温度を制御する方式でCFD解析を開始した。これは設定温度に対してセンサー部温度が近づくように吹出温度を調整する一般的なものである。しかし解析結果は1日の温度変化が目標値に届かない結果となった。結果を分析すると,設定温度になるまでの応答遅れ導・熱対流・熱放射といった複雑な形で入ってきて刻々と変化する。CFD解析を精度よく行うためには,これらの影響を正確に解析モデルに反映する必要がある。そのためにCFD解析のIPO(Input-Process-Output)を明らかにした上で,全ての項目について評価・検証した影響因子ごとに理論式から熱量を計算し,部位ごとの単純モデルによる計算結果と,現地での測定結果を比較検証し,モデルの確からしさを確認した上で解析モデルに投入することを繰り返し,精度向上させた。そしてザインを実現するため,年間を通して目標を達成できる気流を検討した。 に,空調機4か所のうち2か所の風向を上向き45度に,残により自然と冷却され下降することで,加工機の周辺を大きく循環する気流を作ることをねらいCFD解析を実施した。すると,上向きの暖房風が循環することなく,そのまま上昇し発散した。解析結果を分析すると,日中に外気温上昇と日射により温められた空気が天井付近に滞留しており,上向きの気流が周辺空気により自然と冷却されることなく発散しねらいの気流とならなかった工機周辺の空気をかき混ぜることを考えた。空調機4か所のうち2か所の風向を,加工機上部をねらった上向き15度に,残り2か所を下向き15度に調整し,互いに平行に向かい合う風向とすることで,その間に挟まれた空気をかき混ぜることを考えた(Fig. 8b)。CFD解析により,各空調機から吹き出した暖気が加工機周辺を仕切り,その間の空気が加工機周辺で循環する気流が形成され,温度が均一化されていることが確認できた。更に風向や風速,温度を変化させ,気流の挙動を確認しながら,よりよい気流を作り込んだ結果,加工機上下温度差が2.4℃となり目標の2.5℃以下に抑制できることを確認できた。また,温度を均一化する空間を極力小さくすることで,最CFD解析結果より,加工機上部に吹き出した冷気が加2.5℃以下に抑制できることを確認できた。 マツダ技報 No.36(2019)

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