-163- 標4℃以内ともに達成している。主軸変位も従来の1/3以4. 効果検証 5. おわりに 参考文献 Fig. 10 Temperature Transition in One Day CFD解析でFig. 10と同様の条件で改善後の制御方式をFig. 11 Temperature Transition in One Day Fig. 12 Column Upper and Lower Temp. Difference Fig. 13 Column Ambient Temperature (1) 長澄ほか:「魂動デザイン」実現に向けたプレス成形安定化の技術開発,マツダ技報,No.35,pp.106-111 (2018) (2) 西本ほか:「魂動」デザインの再現に向けたこだわNo.34,pp.81-86 (2017) このCFD解析の検討結果に基づき空調システムを構築した。実機での冷房期における温度測定結果をFig. 12(上下温度差グラフ),Fig. 13(1日の温度差グラフ)に示す。上下温度差の目標2.5℃以内,1日の温度差の目下で目標を達成しており,本空調システムによる加工精度向上を確認できた。空調エネルギーについても全館空調と比べて約40%のエネルギー量で温度均一化を実現できている。 この取り組みは,深化した「魂動デザイン」をお客様に届けたいという関係部門の共通した熱い思いが部門を超えた共創活動となり,加工精度向上につながった。今後,引き続き四季の実機検証を行い,年間を通しての温度環境改善を実現し,「魂動デザイン」を深化させ,お客様の人生の輝きにつながるクルマを提供していきたい。 りのモノづくり ~プレス金型製作編~,マツダ技報,マツダ技報 No.36(2019) が発生していることや設定温度に近づこうとして過度な冷風/温風が一時的に出ていることが分かった(Fig. 10)。このような現象は,外部からの熱影響が大きい場合や大空間の場合に発生する。今回のような工場環境ではこの影響が顕著に現れていると考えた。 工場全体の熱収支を計算すると,外気温と日射を起因とする熱負荷が95%以上で支配的であり,この熱が外乱として温度変化に影響を与えている。1日の温度変化を抑制するためには,外乱に対する応答性を向上させることと,外乱の影響を極力防止することが必要と考えた。また,必要な時間に必要なだけ空調を行うことで,最小限のエネルギーで温度均一化を実現することを目指した。 まずは空調の応答性を向上させるため,温度変化の速度をとらえ,これに合わせて吹出温度を制御することが重要と考えた。吹出温度制御にセンサーの温度変化を微分パラメーターとして反映するとともに,設定値の最適化を進めた。更に温度変化に遅れなく対応するため,温度変化の主要因である外気温を考慮したパラメーターを追加し,外気温変化に応じて目標を補正することで,制御の応答性の改善を進めた。 また,加工機周辺気流の外側からの温度変化の影響を極力防止するため,外側との温度差に応じて空調機の吹出風速を調整することを考えた。温度差が大きくなるにつれ気流を強くし,周囲の空気との遮断効果を高くすることをねらい,気流の制御を取り入れた。 適用した場合の解析結果をFig. 11に示す。応答性の向上と気流調整による外乱の影響防止により,加工機周辺の温度変化が小さくなっていることが分かる。
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