マツダ技報 2019 No.36
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Tool grip displacement -168- 5.2 多変量解析を活用した技能動作メカニズム推定 技能動作の特徴を抽出するための解析手法として,多 匠級技能者5名に対し分析を行い,累積寄与率が70%以第1主成分から順に「ツール把持部変位」「旋回速度」Time [sec] Time [sec] Takumi Displacement [mm] Fig. 5 Comparison of Movement (3)筋活動量の分析 Fmax[N]に対する筋力F[N]の割合であり,単位は[%]で(Table 2)。 Table 2 Comparison of Musculoskeletal Exercise Muscle active mass [%] Left arm Right arm Left foot Right foot Tool reaction force[N] Takumi Beginner Trunk 1.4 1.3 1.2 0.6 0.6 Total 5.1 8.2 Beginner Displacement [mm] Center of gravity of body Center of gravity of tool Force Rotational speed Waist acceleration Left foot load Stepping action Right foot load Item 1.0 1.5 1.0 1.5 0.6 5.6 2.1 Center of gravity of 19 portions of each body Displacement, Velocity, Acceleration of XYZ axes Displacement, Velocity, Acceleration of XYZ axes With 3 force plates X axis component, Y axis component, Z axis component Principal component scores Quantity Takumi Upper Pre-Upper Intermediate Beginner 57 3 9 Unit:Point いることが分かった。 筋骨格モデルリングシミュレーションから得られる筋活動量は約820部位ある。筋活動量は,最大可能筋力表される。約820部位のデータは,体幹・右上肢・左上肢・右下肢・左下肢の5部位に集計し比較した。 匠級技能者の筋活動量の特徴は,姿勢維持のため体幹の使用割合が高く,左右の下肢の差が少なくなっているまた,少ない総筋活動量で,グラインダーに反力を与えている。このことから,匠級技能者は,初級技能者よりも,作業中の身体の軸がしっかりしており,左右へのずれが少ない。更に,自身が発した力をグラインダーへ効率良く伝達していることが分かる。すなわち,匠級技能者は伝達効率の高い作業を行っていると考える。 以上のことから,匠級技能者と初級技能者を比較し分析することで,グラインダー作業における技能のポイントが分かった。しかしながら,この技能動作の分析方法では,個人ごとの比較を必要とするため,分析に工数を費やしてしまう。よって,計測した大量の技能データから,グラインダー作業の技能動作の特徴を抽出する解析が必要と考えた。 変量解析の一つである主成分分析を活用した。技能計測システムから得られるTable 3に示す69種の説明変数に対し,相関行列の主成分分析を行った。 上となる第6主成分までのデータで評価を行った。匠級の中の個人では無く,匠級としての技能動作の特徴を抽出するため,第1主成分から第6主成分までの固有ベクトルを,匠級技能者5名で合成した。更に,第1主成分から第6主成分のそれぞれに強く寄与している変数を確認し,各主成分の意味付けを行った。新たに設定した主成分は,「腰加速度」「左足荷重」「踏込み動作」「右足荷重」と表現し,主成分スコアを計算した(Fig. 6)。 主成分スコアは,上位階級の方が高い傾向になっており,グラインダー作業における技能動作の特徴量を6つの変数で定量的に表現できていると考える。 この主成分スコアは,訓練者と匠級を比較し評価に活用する。また,この分析手法は,グラインダー作業に限マツダ技報 Table 3 Explanation Variable Details Fig. 6 Principal Component Scores No.36(2019)

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