マツダ技報 2019 No.36
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-9- 3.3 あこがれの自分になれるエクステリアデザイン 新型MAZDA3は,「お客様が想い描く理想の自分になっ Fig. 14 Two-wall Construction and Blocked Holes for Door Speakers (4)オーディオシステム Fig. 15 Speaker Layout Fig. 16 Hatchback(Fastback) Bose®サウンドシステムを設定している。 (1)ハッチバック(ファストバック) (2)セダン 標準装備となるシステム構成は,カウルサイドの3Lウーファー,前後ドア上部の8cmスコーカー,セールガーニッシュの2.5cmツイーターの3ウェイ。またプレミアムシステムとして,ベースシステムに8cmセンタースピーカーとサテライトスピーカー,サブウーファーを加えたてほしい」という思いから,多くの人が心の中で抱いているであろう憧れの姿をエクステリアデザインで表現することに挑戦した。エモーショナルなハッチバックとエレガントなセダン,それぞれのボディタイプで強い個性を持たせた。 ハッチバックで表現した憧れの姿は「感じるままに生きる自由人」。世間の慣習や常識にとらわれず,信じる道を歩んでいく姿をハッチバックに重ねた。その実現のため設定したデザインコンセプトは「色気のある塊」。世界のどのハッチバックよりも力強く,色気のあるクルマとするため,あえてキャラクターラインを使わず,美しく湾曲させたパネルのみでボディーを構成するというこれまでにないデザイン手法を採用。パネル面に映るリフレクションによる光の動きで生命感を見せる挑戦的なボディーサイドを造った。その上でスピード感のあるルーフと力強いCピラーによるキャビンとボディーがまるでひとつの塊となっているかのような力強さを造った。この新たなデザインによりいつまでも見飽きることのない色気と魅力を表現した(Fig. 16)。 セダンで表現した憧れの姿は「品格と個性を兼ね備えた紳士・淑女」。伝統に裏打ちされた様式に則りつつも,はっとするような美しさを秘めている姿をセダンに重ねた。その実現のため設定したデザインコンセプトは「凛とした伸びやかさ」。通常このクラスのセダンは,車両サイズなどの制約から腰高なプロポーションとなりがちマツダ技報 No.36(2019) は,これまでスピーカーを内蔵しているための大きな穴が開いており,スピーカー自体も質量の軽いコーン紙という素材を使っていたため,遮音効率を高めることは困難であった。そこで新型MAZDA3ではスピーカーをドアパネルから独立させるなど,弱点となる穴と隙間を徹底的に削減。同時にインナーパネルとドアトリムで「2重壁」を構築することで,質量増を最小限にしながら,ドアそのものの遮音性能を大幅に高めた(Fig. 14)。 新型MAZDA3では「どんなジャンルの音楽でも,音量の大小にかかわらず,いつでも高音質なサウンドをお届けること」を目指した。そのため人間が聴き取ることができる最も小さな音から,再生時に音質が下がりやすい大きな音まで,つねにクリアなサウンドとして聴けるように造り込みを行った。クルマの車室内で音がどのように伝わっていくのかを改めて検証し,低音域に関しては音が共鳴して増幅される(=音が出やすい)場所と,かき消される(=音が出にくい)場所があることが判明。そこで特に音が増幅される室内の角部分に低域用スピーカーを配置。中高音域に関しては,場所によってはスピーカーから出た音と反射音が混ざり合うことで音色が変化することがわかったため,反射音の影響を受けにくい位置や角度にスピーカーを配置。このレイアウトによりダイナミックレンジの拡大を実現した。また高音域においては「人間は高い音ほどどこで鳴っているのかを把握しやすい」という特性に着目。高音域スピーカーをドアトリム上部に配置して乗員の耳の高さ近づけることで,より自然な音の到来を実現できるスピーカー配置とし,音の広がりや立体感,明瞭度をより感じやすくした(Fig. 15)。

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