マツダ技報 2019 No.36
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f suudom citsaE Shrinkage diff in thickness direction (2)ソリ変形解析精度の向上 domehnartsereerged ybehT ll l t tio ② 成形品の金型拘束状態の再現 ③ 板厚方向収縮率の算出 ① 樹脂弾性率の温度依存性の加味 -173- In-plane distortion Shrinkage diff btw top and back in in-plane direction Shrinkage diff to in-plane direction in same surface Fig. 5 Pattern of Warpage Deformation CAEソフトに実装するために,成形工程で起きている実現Fig. 6は,横軸が成形工程の時間軸,縦軸に弾性率を表Out-of-plane bending Falling Conventional: always hard A new: Gradually become hard Mold Mold opening Mold Mold opening Fig. 7 Mold Restrain in Molding Parts A new: Not deformed in the mold Conventional: Deformed in the mold Stable state Stable state Fig. 6 Elastic Modulus by Temperature Change Fig. 7は,横軸が成形工程の時間軸,縦軸に型内拘束力Fig. 8に示すとおり,成形品の面内方向(青矢印)と板厚を表しており,実際の樹脂部品は,上図のように金型を抱き抱える形状のため,金型内で成形品は収縮出来ない。従来のCAEでは,左下図のように,金型拘束状態を再現していなかった。今回の活動で,型内では成形品が金型に拘束されて収縮せず,冷却完了後,成形品が金型から解放されてから収縮するロジックに変更した。 一般的にL字形状を持つ樹脂部品は,成形時にL字の内角側に形状が倒れ込む変形が発生する。このメカニズムは方向(黒矢印)の収縮率の差による幾何学的な形状の変化であることが知られている。従来のCAEでは,面内収縮率に一定の係数を掛けて板厚収縮率を算出していた。この計算では,面内方向と板厚方向の収縮比率は常に一定になるが,検証の結果,実際の成形では,製品板厚等の条件によって比率が変化することが分かった。Fig. 9は横軸を面内収縮率,縦軸を板厚収縮率を面内収縮率で割ったものである。このデータを基に板厚収縮率を,体積収縮率と面内収縮率から演算するロジックに変更した。 マツダ技報 No.36(2019) 脂部品では,金型の樹脂注入口(ゲート)が複数必要となることに加え,製品機能を最小重量で満足させるために,製品板厚は部位毎に異なる。そのため,ゲート毎の樹脂の流動速度や距離に差が生じ,金型内の樹脂の圧力・温度が不均一になる。その結果,Fig. 5に示すとおり,部位毎の収縮率に差が生じ,面内歪み,面外曲げや倒れ込みが起こり,部品にソリ変形が発生する。そこで,樹脂流動解析を用い,製品板厚分布,ゲートのサイズや点数,樹脂の射出速度などの工程条件を調整し,収縮率の分布の差が最小になるように工程設計をしている。 樹脂流動解析で収縮率の分布の差を最小にしたとしても,ソリ変形をゼロにすることは困難であり,抑制する製品構造,金型構造,生産工程をCAEで造り込むためには,ソリ変形をこれまで以上に正確に予測する必要がある。そこで,東レエンジニアリング株式会社と共同で,3D TIMON®の解析ロジックの強化に取り組んだ。より本質的な対策を象と現状のCAEソフトの解析ロジックを対比し,不足しているロジックを明確にし,モデル化してCAEソフトに実装した。以下に,今回CAEソフトに実装した主要な施策を紹介する(参考文献(4)参照)。 しており,金型に充填された樹脂は,赤実線のように,冷却・固化が進むにつれて弾性率が高くなる。成形時の樹脂の収縮により発生する内部応力と成形品の剛性の釣り合いを計算するソリ変形解析は,この弾性率の経時変化を加味する必要があるが,従来のCAEでは,常温における一定の弾性率を用いていた(Fig. 6の青点線)。今回の活動で,冷却中の樹脂の温度変化に応じて弾性率を変化させるロジックを実装した。

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