マツダ技報 2019 No.36
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-178- 2. 動的ホイールアライメント Table 1 Relationship between Value and Characteristics Fig. 1 Adjustment of Initial Wheel Alignment 2.2 動的ホイールアライメントの構成要素 タイヤの姿勢はホイールアライメント((1)トー角,(2)(1) Toe Angle (2)Camber Angle Caster Angle (3) Caster Angle & Vehicle Height Fig. 2 Wheel Alignment Vehicle Height その実現に向けて,「人馬一体」では安全に,快適に,思いどおりに操れ,いつまでも楽しみたくなる気持ちよい走りの実現を目指している。ドライバーの意図どおりにクルマが動くこと,人の感覚に合った車両応答が得られることを「マツダらしい操縦安定性」ととらえ,付加価値としたい。これを量産車で実現するには,路面との唯一の接点であるタイヤの姿勢を全ての走行シーンにおいてねらいどおりに造り込むことが重要である。本稿では,「マツダらしい操縦安定性」を動的ホイールアライメントに落とし込み,量産工程で実現させるプロセスを構築し実践した内容を報告する。 両静止状態でのイニシャルアライメントを調整し,完成車の動的ホイールアライメント品質を提供してきた(Fig. 1)。 一方,お客様がクルマを走行させるシーンでは段差の乗り越えや加速,減速時の車両姿勢変化,コーナリング中の車両の傾きなどに応じてタイヤは常に上下にストロークし,ストローク量に応じてタイヤの姿勢は変化する。そこでマツダは車両静止状態だけでなく,動的なホイールアライメントの変化までも工程内で造り込むことが更なる人馬一体の実現につながると考え,評価指標に動的ホイールアライメントを加えた(Table 1)。 しみの全ての項目は動的ホイールアライメントと密接に関わり合っている。特に◎の欄は寄与度が大きい項目である。 2.1 動的ホイールアライメントとは 従来は,構成部品の寸法公差を管理した上で,完成車Table 1に示すように,付加価値である安全,快適,楽キャンバー角,(3)キャスター角)の3つの角度で表される。車高は,フェンダー下端からホイールセンターとしている(Fig. 2)。 ◎:Strong Relationship ○:Relationship マツダ技報 No.36(2019)

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