マツダ技報 2019 No.36
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-186- 2. 従来構造との違い 3. 実現に向けた課題 Fig. 3 Route of Water into Hemming Structure 3.2 タイヤとのクリアランス保証 ヘミング構造の採用により,タイヤを最大限外側へ出すFig. 4 Relations of a Sealing Thickness 3.3 目視困難部位としての品質保証 ヘミング構造のホイールアーチでは,塗布欠陥があってFig. 5 Visibility of Sealer Applied Area に180度折り曲げて接合する構造を採用することで,タイFig. 2 Relations of a Tire and Body 3.1 水を侵入させない防錆性能保証 ホイールアーチは,サイドフレームアウターとリヤピラー旧型アクセラでは,リヤホイールアーチにおいて,L型フランジ構造と呼ばれる,ボディー外板パネルと内板パネルをタイヤ側に90度折り曲げて接合する構造を採用していた。この構造では,①スポット溶接,②サイドフレームアウターとリヤピラーインナーのアッシー公差,③防錆シール保証で必要な寸法などの積み上げにより,長いフランジ幅を必要とし,更に④フランジエッジによるタイヤの傷付き防止の安全マージン(バースト要件)を確保した位置にタイヤを配置する必要があった。一方,新型MAZDA3ではヘミング構造と呼ばれる,ボディー外板パネルをタイヤ側ヤを車両外側に張り出す車両構造を実現した(Fig. 2)。 リヤタイヤアーチにおけるヘミング構造を実現するにあたっての最大の課題は,ボディー外板パネルと内板パネルの合わせ目に塗布するシーリングの品質保証である。具体的には以下の3つの観点での品質保証を実現しなければならない。 インナーの2枚のパネルで構成されているが,同部位はタイヤが泥水を巻き上げ厳しい環境にあり,この2枚のパネルの合わせ部に水が浸入しないよう,確実にシールしなければならない(Fig. 3)。 ためには,シーラーを塗布した結果の全体の厚みをヘミング厚み以内で管理しなければならない(Fig. 4)。 も適切な方向から目視できない。また,シーラー厚みの上限管理も目視では容易に検査できない(Fig. 5)。 マツダ技報 No.36 (2019)

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