マツダ技報 2019 No.36
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-187- 4. 課題解決 Fig. 8 Width A Relation Fig. 9 Width B Relation シーラー浮きを発生させない寸法Aを保証するためには,寸法A≧③-(①+②)が必要である(Fig. 8)。 ①ヘミング長さMAX寸法 サイドフレームアウターがヘミングされた状態で管理された,寸法公差の最大値。 ②シーラー塗布位置ばらつき寸法 シーラー塗布作業で起こる塗布ばらつき寸法の最大値。 ③シーラーノズルの製作公差MIN寸法 ノズル納品時のガイドからノズル上端までの管理寸法の最小値。 シーラー外れを発生させない寸法Bを保証するためには,寸法B≧④-(⑤+⑥+⑦) が必要である(Fig. 9)。 ④ヘミング長さMIN寸法 サイドフレームアウターがヘミングされた状態で管理された,寸法公差の最小値。 ⑤シーラー塗布位置ばらつき寸法 シーラー塗布作業での起こる,シーラー位置のばらつき寸法の最大値。 ⑥シーラーノズルの製作公差MAX寸法 ノズル納品時のガイドからノズル下端までの管理寸法の最大値。 ⑦シーラーノズルのガイド摩耗限界寸法 日常使用でのガイドの摩耗の点検管理寸法の最大値。 4.1 シーラー塗膜位置保証 (1)ねらいの寸法リレーション Fig. 6 Target Position of the Sealer and Failure Mode / Sealer Dimension Criteria Fig. 7 Overlap Width of Sealer and the Hem Flange マツダ技報 No.36(2019) 水を侵入させない防錆性能を確保するためには,ボディー外板パネル(サイドフレームアウター)と内板パネル(リヤピラーインナー)の鉄板どうしの接合精度とシーラー塗布位置精度の寸法リレーションを成立させ,さまざまな故障モードに対してもロバストかつ確実なシーラー塗布を行う必要がある。 代表的な故障モードとして,以下の2つが挙げられる。 a)シーラー浮き:板厚やパネル板間隙による段差によりシーラーが着地せず,シーラーが浮いた状態。 b)シーラー外れ:シーラーがサイドフレームアウターパネルに被さっていない状態(Fig. 6)。 これらの故障モードに対して,シーラー浮きを発生させないためのオーバーラップ寸法A(以下『寸法A』)と,シーラー外れを発生させないための寸法B(以下『寸法B』)を考慮する(Fig. 7)。 寸法A:最悪条件(段差・吐出量・塗布速度・塗着角度などが最も不利な状態)でもシーラー浮きなく必ずリヤピラーインナーパネルに塗膜を着地させるために必要なオーバーラップ寸法。 寸法B:最悪条件(上記同等)でもシーラーが合わせ目から外れることなく被せるために必要なオーバーラップ寸法。

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