マツダ技報 2019 No.36
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-188- 次に,Fig. 11に示すガンツールにより,合わせ目とノズ(2)ねらいの塗布位置を実現する相対位置決め (2)ねらいの塗膜厚みを実現する塗布システム Fig. 10 Fender Measurement for Location Correction Fig. 11 Gun Tool Fig. 12 Mechanism to Fit Exterior Panel 4.2 シーラー厚み保証 (1)ねらいの寸法リレーション 前述の寸法リレーションを成立させるため,合わせ目に対してねらいの位置に確実に塗布できるロボット塗布システムを開発した。このシーリングシステムは,工場ごとにワーク(ホワイトボディー)の搬送精度が異なる国内外工場に展開することを前提に開発を進めた。 シーラー塗布の塗布位置を保証するために,従来は作業者が,合わせ目そのものにノズルを接触させ,ズレ量を目で見つつ触感を働かせながら瞬時にノズルの位置を補正して塗布していた。このシステムでは,ホイールアーチ位置の合わせ目がどこにあるかをレーザーセンサーにて測定した上で,ガンツールをボディーにフィットさせて塗布する機構により,ワーク位置のばらつきの影響を受けずに人間作業同等以上の塗布精度を実現した。 まずFig. 10に示すように,ホイールアーチの2か所を測定し,おおまかな位置を認識し,相対位置のズレを補正する。具体的にはホイールアーチ前端と最上部の2か所で,ボディー前後方向:X,ボディー左右方向:Y,ボディー高さ方向:Zの3方向を測定している。 ルの相対位置をねらいの位置関係に保ちながら塗布する。 具体的には以下の3つの機構により,ホイールアーチを3次元トレースする。 ①外板パネルにガイドを押し当てるシリンダー ②ヘミング端にガイドを押し当てるシリンダー ③外板パネルに傾きをフィットさせる回転機構 上述のように,人による塗布では合わせ目にノズルを接触させているが,3.2で述べたクリアランス確保の目的で全体の厚みを管理するため,このツールでは,外板基準でヘミング構造に完全にフィットさせて,ノズルの相対位置を保証するようにした。 具体的には,まず①のガイドを押し当てるが,その接触時に③がフリーで回転して外板とノズルが平行になるようにし(Fig. 12),その後②のシリンダーにより全体がヘミング端に当たるまで動くことにより,合わせ目とノズルの相対位置を一定に保つことができる。 フィットさせるときの力加減は,人間作業の技能を参考に,エアーシリンダーの圧力で制御している。 以上により,防錆を保証するためのシーラー塗膜位置の保証を実現した。 ヘミング構造の採用による効果を最大にするために,シーラー厚みの上限をヘミング厚み(5mm以内)より厚くならないようにする必要がある。また,シーラー厚みが薄くなり過ぎても,シーラー切れの発生要因となるため,シーラー厚みを高精度に管理する必要がある。具体的には,シーラー厚みを1.6±0.3mmにコントロールする(Fig. 4)。 そして,これまで経験にない高い精度であるねらいのシーラー厚み1.6±0.3mmにコントロールするためには,ノズルから出る塗料の吐出量とそれを塗るロボットの速度を高精度に制御する必要がある(Fig. 13)。 マツダ技報 No.36 (2019)

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