マツダ技報 2019 No.36
198/321

-189- 1ポイントずつノウハウに基づいて設定していたが,これ Fig. 13 Sealer Thickness Control Fig. 14 Robot Teaching Point Fig.15 Target of Sealing 今回これを解決するために,ボディーの3DCAD図面から自動的に教示点を作成し,プログラムに変換することをおこなった(Fig. 14)。 これにより,塗布開始から終わりまでねらいの一定速度でロボットを動かすことを実現し,吐出量制御と併せて,塗着量一定の塗布を実現した。 システムを構築したが,この品質保証を行うため,塗布した部位の塗膜品質を全数検査するシステムを開発し導入した。 当部位は目視困難であるため,上述した位置補正システムのセンサーを利用して,塗布と同じロボットで品質検査を行う。 4.3 目視困難部位の品質保証 4.1と4.2によりねらいの塗膜形状(Fig. 15)を塗布するマツダ技報 No.36(2019) 塗料の吐出量については,定量ポンプを用いて制御している。しかしながらシーラー材料は非常に粘度が高く(歯磨き粉と同等),一般的にこのような塗料の供給システムにおいて,高精度な吐出精度を実現することが難しい。粘度の高い液体は,ドロドロの飲み物を飲む時に吸いにくいのと同じで,塗料供給する時にホース内を通るだけで抵抗が大きい。そして抵抗が大きいために高い圧力で圧送が必要で,ホースは風船のように微小だが膨らむ。そしてホースの湾曲により,ホース内の圧力が変動し,結果として吐出量の変動を引き起こす。逆に言えば安定した吐出を実現するためには,ノズル出口での圧力を安定させることが必要である。 具体的に実装した機能としては,吐出前の準備圧制御と吐出中の間の塗料温度調節機能である。 シーラー塗料は,温度が高くなると柔らかくなり,温度が低くなると固くなるという特性を持っている。塗料の温度の変動は,塗料の粘度の変動に大きく影響し,塗料温度が高いほどホース内では流れやすく,変動は小さくなる傾向にある。これを利用し,比較的高い温度域で高精度に塗料温度を制御することで,吐出量の変動を最小限に抑えるようにした。具体的には,塗料の出始めから終わりまでの塗料温度を一定にするため,1台のワークに塗布するために必要な塗料の全量を同じ温度に保つ必要があるが,そのために経路全体を温調するのではなく,ガン近傍の塗料温度を制御する温調システムを組み込むことで,それを実現した。 ロボットの塗布速度については,オフラインプログラミングの高精度化により,実機速度の安定化を行った。 オフラインプログラミングでの重要ポイントは, ・教示点を同じ間隔にする ・形状の接線方向とロボットのベクトルを合わせる という2つである。 従来のオフラインプログラミングでは,教示点を人がではわずかな教示点間距離の差が生まれ,速度変動が発生する。また,教示点群が形状に完全に沿っていないと,速度の進行方向成分に狂いが生じ,結果的にノズルの進行方向速度が変動してしまう。

元のページ  ../index.html#198

このブックを見る