特集:新型MAZDA3 2 *1 デザイン本部 -11- 1. はじめに 要 約 Design for All-New Mazda3 Summary Mazda’s design philosophy “KODO -Soul of Motion” introduced in 2010 has been manifested on all Key words : Vehicle Development, Design, Exterior/Interior, Color として発表した2015年RX-VISIONと2017年VISION 光と影の移ろいが作りだすリフレクションによる生命感へと深化。これは古来より日本文化が大切にしてきた引き算の美学で,複雑な要素を徹底的に研ぎ澄ませることで,控えめながらも豊かな美しさを表現している。加えてふたつのビジョンモデルは新世代デザイン表現の幅を「艶と凛」に広げるマツダデザインの意志でもある。新結実した最初の商品である。本稿ではそれを実現するため,これまでの既成概念に捉われない発想と挑戦により土田 康剛*1 Yasutake Tsuchida 2010年に掲げたマツダのデザインテーマ「魂動(こどう)-SOUL of MOTION」で統一した商品群が一previous generation models, and now it opens a new chapter starting from the All-New Mazda3. For the next generation, “minimalism (less is more)”, a Japan’s unique aesthetic, is pursued. Based on the concept, extensive design expressions are applied as a next generation strategy. Mazda defines the characteristic of self-restrained dignity in Japanese as RIN for sedans, while alluring sensuality as EN and sportiness for fastbacks, representing the beginning of the new generation. For the exterior, the conventional sharp character-lines are eliminated in line with the minimalism concept. Instead, a delicately modulated use of light that glides over the body makes the car look alive. For the interior, comfortable space is created, which delivers a sense of oneness between a car and a driver. MAZDA3(アクセラ)は世界130国以上で販売され,Design Div. COUPEはこれまでのラインによる躍動の生命感から,型MAZDA3はこれらビジョンモデルの高い志を量産車で新型MAZDA3のデザイン マツダ技報 No.36(2019) 巡し,新型MAZDA3から魂動デザイン第2章の幕開けとなる。新世代への深化として日本の美意識に基づいた「引き算の美学」の体現を目指した。その上で,これまでよりデザイン表現の幅を拡げていく戦略を取る。 セダンは「凛」とした品格を備えた大人のセダン,ファストバックを「艶」っぽくスポーティなデザインとし,新世代の幕開けを飾るに相応しい二つの個性豊かなデザインを与えた。 エクステリアでは引き算の美学の考え方の下,従来の自動車デザインに用いられてきたシャープなキャラクターラインを廃し,リフレクションによる面造形で新世代の生命感表現に挑戦した。 インテリアでは人とクルマの一体感を作る心地よい空間を表現した。 累計販売台数600万台以上を記録したマツダの最量販車種であり,マツダの成長を支えてきたモデルである。デザインでは先代MAZDA3が2014年ワールドデザインカーオブジイヤーTOP3に入賞するなど市場評価も高い。 グローバルでは4代目となる新型MAZDA3は新世代商品群の幕開けを飾る重要な車種である。また魂動デザインで統一した商品群が一巡し,デザインの深化を見せる格好のタイミングである。深化した魂動デザインの布石
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