マツダ技報 2019 No.36
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-208- 2. 切削力センシング技術の開発 Fig. 1 Main Sensing Spindle Fig. 3にセンシング主軸の入力荷重と出力荷重の関係Fig. 4に入力荷重に対する出力荷重の誤差との関係をFig. 2 Comparison of Cutting Force Responsiveness at Fig. 5に1台のワークを加工するために使用する刃具の,Fig. 5 Temperature Drift of Each Tool Initial Period of Drilling Fig. 3 Measurement Accuracy Fig. 4 Output Error for Input 量産加工の過酷な状況の中で,安定的に高精度な切削力を計測するために次の3つを開発目標として,設備メーカーと協働で主軸に力センサーを組み込んだ。 ①温度ドリフトが小さい(40N/分以下) ②計測精度が高い(計測精度±20N) ③応答性がよい(応答遅れ0.02秒以下) 力センサーは計測感度が高く,かつ高剛性である水晶圧電型を選択した。 センシング主軸の基本的な構造は筆者らが検討し,設備メーカーと何度も協議し,力センサーのレイアウトや油気圧配管経路を決定した。 主軸への力センサー組込み検討では,CAEによる静剛性解析を行い,マシニングセンターの軸移動性能に影響を与えないレベルで部材の寸法・形状を見直し,力センサー取り付けによる主軸剛性の低下に対する補強を行った。 また,温度ドリフトは,主軸内部を流れる切削油の温度変化が大きく影響を与えるため,断熱化と温度分布の均一化に主眼を置き,数パターンの切削油油路仕様を選定した。これらを熱変形解析で評価し,最適な切削油油路の仕様・レイアウトを選定した。 以上の対策を織り込んだセンシング主軸をFig. 1に示す。 また,ドリル加工における加工初期のセンシング主軸とサーボ負荷の計測状態を比較したものをFig. 2に示す。 センシング主軸はサーボ負荷に対し,応答遅れが0.001秒以下と少なく,制御のオーバーシュートの影響もない実切削力が測定可能である。 を示す。入力荷重は水晶圧電型の力センサーで計測したものである。 示す。計測精度も±20N以下を確保した。 加工開始から終了までの温度ドリフトを示す。力センサーへの熱影響対策と,センサー近傍の温度変化を測定・計測値の補正を行い,温度ドリフトを40N/分以下とした。 マツダ技報 No.36(2019)

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