マツダ技報 2019 No.36
225/321

Fig. 11 Residual Stress Difference between CAE and -216- (Fig. 12下段)を構築した。これにより残留応力から耐 SKYACTIVエンジンのシリンダーヘッドの残留応力計6. 開発モデルとの連成 Fig. 9 CAE and Measured Temperature Curves (Before / After) Fig. 10 Example of Stress and Temperature Change Actual Measurement (SKYACTIV Engine) 6.1 開発モデルとの連成システム構築 生産技術部門で残留応力予測を行う3Dモデルは鋳造時Fig. 12 Residual Stress Coupled Process Flow 算結果を実測と比較した結果をFig . 11に示す。引張・圧縮方向及び応力値共に製品の各部位に渡って良い一致を示しており,モデルベース開発に適用可能と考え,鋳造プロセスや形状の最適化への活用を開始した。例えば,鋳造後の冷却過程で発生していたクラック等のメカニズム分析が可能となり,応力を低減させる鋳造条件変更や形状改善などを実施している。この残留応力予測結果を,開発部門で検証している耐久性評価システムの境界条件へ活用するため連成システムの構築を進めた。 の形状であり,開発部門で耐久性評価を行う3Dモデルは機械加工を終えた最終製品形状であるため,形状が異なる。そのため解析を行うメッシュのノードが一致しておらず,当初は連成させることが困難であった。そこで,最も近いノード同士で残留応力を貼り付ける(マッピング)ことができるプログラムを開発した。また,耐久性評価する際,部品等の組み合わせを考慮して解析するため,設計ノミナル形状でやることが必要となる。しかしながら,鋳造時に発生する残留応力や加工時に解放される残留応力を単純に耐久性評価用の製品形状へマッピングすると,釣り合いが取れず製品形状は変形してしまう。そこで,開発部門で残留応力による変形量の逆数を,製品形状の初期変位情報として与えるプログラムを開発した。 つまり,生産技術部門と開発部門でそれぞれ独立して耐久性向上に取り組むプロセス(Fig. 12上段)を,開発部門と共同で,各工程をつながることができるプロセス久性までシームレスな解析プロセスを実現できた。 マツダ技報 No.36(2019)

元のページ  ../index.html#225

このブックを見る