マツダ技報 2019 No.36
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-217- 7. 新型MAZDA3シリンダーヘッドへの適用 8. まとめ Fig. 14 Application Example of Development Process Fig. 15 Weight of Cylinder Heads (2010~) 6.2 連成有無の効果検討 Fig. 13に残留応力結果の連成あり・なしの,シリンダーFig. 13 Residual Stress Coupled Process Flow Fig. 14にSKYACTIV—Gでの適用例を示す。余裕があ(SKYACTIV-D)の軽量化を達成し,走る歓びを実現で製品開発の初期段階から,開発部門と一気通貫で形状育成可能な技術を構築し,その結果を製品形状に織り込むことで,より高い次元で商品性と生産性をブレークスルーできた。今後も,シリンダーヘッドの残留応力・耐久性の予測技術をレベルアップすることで,更なるお客様価値向上へつながっていくと考えている。 最後に,モデルベース開発を進めていく上でCAEをいかに活用し効率的に開発を進めるかが重要になる。そのためには『実現象を詳細に捉えIPOを整理しメカニズムマツダ技報 No.36(2019) ヘッド耐久性評価結果を示す。ここで耐久性の評価指標は材料限度に対する応力の余裕度として,「安全率」と呼んでいる。開発モデルと連成したことで,分布や値が変化することがわかる。青で囲った部分は余裕があり,除肉による軽量化ポテンシャルがある部位と判断できる。一方,赤で囲った部分は耐久性のリスクがあり,残留応力と連成しない場合では予測ができていなかった部位を造り込めるようになった。次に,新型MAZDA3へ適用した内容を紹介する。 る部位(Fig. 14-①)は,開発部門と連携し各部位の薄肉軽量化を検討し最小肉厚3mm達成した。一方で,余裕がない部位(Fig. 14-②)はR拡大などの形状改善を加え製品剛性を向上し,耐久性を改善させた。 薄肉軽量化を検討する上で,製品機能とともに生産限界を見極めることも重要となるため,製品湯流れ温度予測技術との連携により鋳造方案の最適化を行い,生産性を確保しながら検討した。 この技術は新型MAZDA3やCX-8などに搭載されるエンジンに適用しており,成果として,SKYACTIV-Xシリンダーヘッドでは,インテークポート側・エギゾーストポート側の外壁肉厚は業界Topレベルである全域2.5mmを達成し,業界Best in Classの軽量シリンダーヘッドを実現した。その他のエンジンでも従来比で最大で950gきるシリンダーヘッドを開発部門と一体となり開発できた(Fig. 15)。

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