マツダ技報 2019 No.36
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-220- 「NAロードスターへの愛情を永遠に持ち続けて欲しい」 3.3 準備活動 レストアサービスの検討は,商流,物流,お客様との 3.4 お客様説明会 レストアサービスの受付をする前に,2017年12月10日 2. レストアサービスの志 3. レストア開始までの経過 Fig. 1 NA Roadster 3.1 NA ロードスターに込められたメッセージ 1989年,初代となるNAロードスターが誕生した。そFig. 2 Catalog of NA Roadster 開始した。時代を超えてクルマを愛してやまない方たちと一緒に,NAロードスターのある人生の楽しさを追求していきたい」という想いを胸に,今後も“マツダにおけるレストアサービス”のありたい姿を目指す。 マツダは,NAロードスターのレストアサービスやパーツの供給を通じて,クルマを愛してやまない人たちとともにクルマ文化の育成に挑戦する。 そして,それらの取り組みを通じて,お客様との間に特別な絆を守り続けるブランドになることを目指す。また,純正パーツの供給を続けることで,ロードスターを愛する全ての人と真摯に向き合い,「共に走り,共に歓ぶ」ことのできるパートナーであり続ける。 マツダのNAロードスターレストアサービスは,ただ車を修理するだけでなく,「新しい命を吹き込み,息を吹き返らせ,そしてお客様と共にずっと走り続ける」このような気持ちで1台1台と向き合う。そして「以前よりも本当に綺麗になったね」「生き生きとした表情になったね」と,まるで愛しい家族や信頼する相棒に語るような,温かい感情をお客様と共有することが私たちの歓びである(Fig. 1)。 の紹介は,こんなクルマにのりたい。こんなクルマをつくりたい。こんなクルマをおとどけしたい。新時代のライトウェイトスポーツ “NAロードスター” はまさしく「クルマの新しい楽しみ方」をお客様にご提供するコンセプトであった。そして,お客様が初めて手にするカタログに記されている 「だれもが,しあわせになる。」というメッセージは,このクルマを手に入れるためにほんの少しの勇気を持てば,しあわせな人生がおくれるという想いがこめられていた(Fig. 2)。 グに参加すると,NAロードスターを永く乗り続けるためのサービスパーツの供給をずっと続けて欲しい,また,カスタマイズをやり尽くしたので,オリジナルのNAロードスターに戻したいという多くのファンからの要望を聞くようになった。初代となるNAロードスターが誕生してビスは,マツダが,NAファンの「NAロードスターを永く乗り続けたい」という愛情と熱意に応えるという信念,という願い,そして,「長く愛されてきたクルマを愛でる社会・文化を育む」という強い願いが事業検討への後押しとなった。 接遇など,新しいビジネスモデルの検討からスタートした。社内の経営企画部門のメンバーのサポートや,実際に作業を実施してもらう(株)マツダE&Tとの役割分担や契約などのビジネス課題を克服した。次は,レストアができるだけの新品パーツが供給できるか必要な部品を一点一点調べた。供給が停止している部品は,サプライヤー様と供給可能かどうかの折衝をし,レストアに必要な大事な部品については特別にお願いした。 最後は,レストアのトライアルである。走行距離が20痛み具合や部品の損傷箇所,再使用可能かどうかを調査した。トライアルにより実施手順と品質確認の実績を積んだ。また,塗装は品質と見栄え検証を行い,当時と同じ色合いになるまで色合わせを重ねた。更に,塗膜の耐腐食性能や耐候性テストを実施した。 マツダR&Dセンター横浜でお客様説明会を開催した。午前と午後の2回で200組のお客様を予定していたが,申し込みは2倍以上の500人を超え,1月にマツダR&Dセンター横浜,そして広島本社で実施し合計439人の追加説明会を実施した。説明会は,スペシャルパッケージとVスペシャルの2台のトライアル車を展示し,これまでの経過,具体的な実施要領,申し込み方法,受付場所,対象車,メニュー,価格,支払方法など説明した。心配していた価格は,お客様よりレストアへの感謝とエールをいただいた(Fig. 3)。 3.2 お客様の声 日本中で開催されるロードスターのファンミーティン約30年が経過した。このNAロードスターレストアサー万km越えの中古車を購入し,実際に車両の分解,車両のマツダ技報 No.36(2019)

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