マツダ技報 2019 No.36
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4.5 実施要領 (1)受入検査 4.2 適用車 受付できる車両は,ナンバー付きのNA6CE型で,グレー(2)分解 4.3 メニューと価格 レストアメニューの考え方は,マツダがメーカーとし-221- 4.4 事前確認 レストアを実施する前に,受付可能な状態を確認する Fig. 4に具体的なレストアの流れを示す。Webでの受4. 実施要領 Fig. 3 Briefing of Restore Service 4.1 レストアの流れ Fig. 4 Process of Restoration その上で,お客様のご要望にお応えするため,オプションメニューとして“インテリア”“エンジン”“シャシー”“エアコン”“タイヤ&ホイール”を個別に選択可能とした。各メニューでは,新品の純正部品の交換ばかりでなく,復刻が困難な部品においても,オーバーホール,シートリペアにより対応する。 また,価格については,上記の内容によりレストアの価値を発揮しながらも,できるだけリーズナブルな価格で提供できることを考慮し,基本メニューと,オプションメニューも含めたフルレストアを設定した。具体的な価格はWebで確認できる。 ため車両の診断を行う。お客様のお近くのマツダ販売会社様で場所を提供いただき,レストアサービスのチームメンバーが,ロードスター専門ショップのサポートを受けて,車体のダメージや修理状況,カスタマイズの状況を確認する。その際,外板の修理履歴調査のため塗膜厚の計測と,車体の歪みを確認するために,フロント,アンダーボディー周辺の車体寸法を測定する。 お預かりしたお客様の車両は,分解する前に素性を確認するため,各ボディーパネル間のパネル隙について16か所を計測し最大値と,最小値を検査部門が外観測定フォーマットに沿って記録する。次に灯火や電装部品など各種装備品の機能ついて29項目,各種動作や作動の状態を確認する。 その他,社内の試験路にて試乗し異音の有無,不具合がないかの確認やホイールアライメント,車両重量(輪荷重)の測定など入庫時の車両状態についても確認し記録する。社内の高速試験路を使用し高い速度領域での試走も実施し,入庫時の状態を漏れなくレコードキープしてから次の分解工程へ移行する。 2柱リフトで車体を持ち上げフロアアタッチメントを取外し,油水の漏れや部品の不具合などを目視で確認後に,高圧洗浄機にてアンダーボディーの洗浄を行い,蓄積された泥などを洗浄する。お客様が選択したメニューは勿論のこと,選択してない部品についても不具合がないことを1品ずつ慎重かつ丁寧に確認する。お客様が選択していないメニューの部品に不具合が発見された場合は定型の不具合リストに記入,分解時に確認された不具合内容を漏れなく管理する。 発見された不具合内容はお客様に提示し,修理の必要性を詳しく説明して対応方法について相談する。お客様が納得し承諾を済ませた上で追加作業として再契約手続きを行う。その後,部品の追加手配,追加作業として分解作業を継続する。 希望されるメニューマツダ技報 No.36(2019) 付から始まり納車までの7つのステップである。レストア期間は受付から約2か月を想定しているが,実際には車両の状況によって延びる場合がある。申込みは,マツダの公式Web内にあるレストア専用のサイトからお客様が申し込む。ここから申し込みされたお客様の車両情報により,ロードスターがレストア適用車であるかどうかを確認する。 ドは標準車,スペシャルパッケージ,Vスペシャル,Jリミテッド,カラーはカタログモデルの6色に加え,サンバーストイエローも対応する。また,限定車,M2については専用部品をそろえることができないため,開始時点では対応しない。車両の状態は,錆の補修,車体の歪みや板金が必要な車両や,カスタマイズパーツなど,純正以外のパーツ装着車両には対応しない。最初は小さく始めて,今後,経験と技術を積み上げていきたいと考えている。 て実施するレストアの価値である“安心して永く乗り続けて頂く”ことを実現することである。そのため,ボディーとエクステリアを防錆に配慮した作業を行い,新車に近い状態に戻す“基本メニュー”を設定した。全ての部品を取り外しホワイトボディーの状態にした上で全塗装を行い,外装フタ物を防錆力の高い電着済みの新品部品へ交換する。板金が必要な場合は,後述のTUVの認証を取得した協力会社様にて丁寧な補修作業を実施する。

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