マツダ技報 2019 No.36
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(3)塗装 0=中心が当時の色を表すが,測定数値では黄色味A’を0-222- Fig. 5 Problems Discovered Disassembly Table 1 Sample of Corrosion Test Fig. 6 Before Top Coating 肌を再現した。こうして上塗り前の下地を作り込む(Fig. 6)。 上塗りは,最初に車両をリフトアップし,アンダーフロアーをマットブラック色で塗装する。しっかりと乾燥させたのちリフトから降ろし,ボディー色塗装へ進む。室内,トランクルーム,エンジンルームと部品が装着すると隠れてしまうボディー内部から塗装し,外板へと仕上げる。塗装の最後はクリア塗料を全面塗布して完了である。当時,ソリッド色にはクリア塗装の設定はなかったが,耐久性と艶やかさを高めるために採用した。 当時の再現においては,第一印象に深く関わる色味に着目した。幸いにも当時のカラーマスター板が残っていたためそれを目標にした。カラー評価においては,見る時の環境が大きく影響することから目視評価が最優先される。そこで,色評価を専門とするデザインカラーチームと協力しながら,測色計の数値データで補足確認し,現在の原色塗料での最適配合を作り出し忠実に再現した。 に近づけようとすると明度B’がマイナス方向に進む傾向があった。最終的にはこの2要素のバランスに注目し,多角方向の目視評価で最も当時の色に見える配合に決定した。 塗装工程の仕上げは,匠の手による表面研磨とポリッシングを行い当時の新車以上の輝きを実現する(Fig. 7)。 内容により交換する部品が異なるが,再使用する部品については内外装の部品を洗浄する。塗装が必要な部品については塗装を施し,見栄えだけでなく防錆処理の意味も含め仕上げ組立工程のタイミングに備える(Fig. 5)。 全部品を取り外したホワイトボディーは,シーラーとアンダーコートを当時の設計図面を基に,現在の基準と照合しながら劣化や破損部分を修復する。新品のサービスパーツに交換するフタ物部品においては,現行車と同じプロセスでシーラー施行し,最新の品質基準でお客様へ提供する。 塗装は,経年による色褪せやキズ,汚れ,錆などが全体に及ぶため,当時の塗装範囲を超え,見える範囲全てが対象である。特に外板では,紫外線や外的要因による塗膜の経時劣化を考慮して,オリジナル部品を使用する場合は,旧塗膜を完全除去する。下塗り材料の選定は,マツダ販売会社様やプロショップ様からの情報を基に,複数のプライマー候補の中からレストア作業プロセスを想定したテストピースを作製し,実腐食試験により防錆効果を検証した。プライマー種により耐食性に違いがあることが分かった。Table 1にプライマーの実腐食試験における塗膜腐食剥離の代表T的な事例を示す。プライマー種により耐食性に違いがあることが分かった。 また,この車の特徴的な車両サイドの耐チッピング塗装では,当時の担当者から生産プロセスや,苦労したことやノーハウを織り込み,トライを繰り返してツブツブTable 2にネオグリーンの調色事例を示す。測定データTable 2 Neo-Green Color Tuning Example マツダ技報 No.36(2019)

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