マツダ技報 2019 No.36
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■著 者■ -224- 復刻BS社様製タイヤ(SF-325)185/60R14は,当時の5. クラシックカーガレージ認証 6. 復刻部品 7. おわりに Fig. 12 Certification Document by TUV Rheinland Japan NAロードスターの部品は約半数が供給不可であった。そFig. 13 Soft Top Fig. 14 BS Tire SF325 西田 芳伸 伏見 亮 レストア事業開始にあたり最初に考えたことは,レストアした車が市場で正当に評価され信用されることである。欧州でヒストリックカーの査定や日本の板金修理業界で認証を行っているTUVに相談し,全世界でレストア車の認定制度に着手されているとの情報を得た。 そして,「第三者機関が車の出来上がりを保障する」その認証一号取得を目指した。2年間かけて,受付体制,契約書類の準備,レストア作業場の環境/設備管理の状況,作業者のスキル/教育計画の管理などをTUVの厳しい監査を受け2018年12月1日に世界初クラシックカーガレージ認証を取得した。 今後この認定制度を活用してレストア車の価値向上や車両保険への加入,そしてドイツのような工業文化遺産として扱われ税制優遇が受けられる時が訪れることを願い活動を続けたい(Fig. 12)。 レストア検討開始時,量産終了から20年が経過したの中からマツダがレストアをするために必要な部品や,お客様に今後も乗り続けていただくために必要な部品として約170部品を復刻した。専門ショップやユーザーの皆様にいただいたご意見やご要望を参考に部品を選定し,各部品サプライヤーの皆様にご協力いただき,NAロードスターオリジナルの雰囲気や質感にこだわった以下のような復刻部品を設定した。 復刻ソフトトップは,当時の幌生地(ドイツ製)が入手不可となり,同じ風合いの生地をアメリカから取り寄せ,量産時より厳しい耐久試験をクリアし生まれた商品である(Fig. 13)。 トレッドパターンや側面デザインだけでなく,乗り味も再現するよう当時の開発者によって作り込みが行われたこだわりのタイヤである(Fig. 14)。 レストアサービスを開始し1年が経過した。受付基準が厳しい現状ではあるが50人のお客様より申込みをいただいた。2019年5月時点で3台のレストアを完成し現在4台目に取り組んでいる。マツダは,NAロードスターのレストアサービスやパーツの再供給をとおして,お客さまの人生をより豊かにし,お客さまとの間に特別な絆をもったブランドになることを目指す。そして,お客様とともに古いクルマを大切にする自動車文化の発展に貢献できるよう取り組んで行きたい。 山本 修弘 野村 裕之 マツダ技報 No.36(2019) 中矢 健次 國本 拓也

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