マツダ技報 2019 No.36
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(2)構造からのアプローチ (1)材料からのアプローチ -227- Shade Face Highlight Acceptance-Angle Table 1 Required Performance & Approach 3.1 表面意匠性 深みのある色合いを持ちながら光を受けると精緻な柄がFig. 4 Developed-Technology Sample1 Sample2 Sample3 Fig. 5 Luminance / Acceptance-Angle Luminance 示す。サンプル1は光吸収剤を処方した黒調のサンプルで,シェード,フェース,ハイライトで輝度が全く上がらない波形を示した。サンプル2は酸化チタンを処方した白調のサンプルで,輝度自体の絶対値は高くなっているものの,シェード,フェース,ハイライトで輝度の変化のない波形を示した。サンプル3は光輝材を処方したメタリック調のサンプルで,シェードからフェースまでは輝度が低いが,フェースからハイライトにかけて輝度が急激に高くなる波形を示した。このように,基材樹脂に光輝材を配合することでハイライト部での強い反射を実現し,それに加えて光吸収剤を配合することでそれ以外の部分での強い吸収を実現させた。 構造からのアプローチとして,「表面構造」と「断面構造」に着目し,構造で光をコントロールすることで,「深みのある色合い」「精緻感」「陰影感」の実現を試みた。 今回の意匠のポイントになるのが表面構造であり,「表層表面の微細形状」と「基材表面の凹凸形状」がある。表層表面の微細形状については,鏡面のような平滑感を実現することで,表層表面で光が乱反射することなく,光を基材表面まで透過・減衰させるようにすることで深みのある色合いを実現させた。基材表面の凹凸形状については,柄の高さや傾斜角度などで光の反射をコントロールすることで,精緻感と陰影感を実現させた。Fig. 6とFig. 7に柄と輝度の関係を示す。サンプル1は光吸収剤を処方した黒調のサンプルで,基材表面が鏡面では輝度の変化が全くないが,凹凸形状を設けることで輝度が変化しているのが確認できた。サンプル2は光輝材を処方したメタリック調のサンプルで,凹凸形状を設けることで,サンプル1以上に輝度の変化が大きいことが確認できた。このように,材料に加えて,構造からも光の反射をコントロールすることで,精緻感と陰影感を実現させた。 マツダ技報 No.36(2019) 浮かび上がる新しい仕立てを実現させるには,正反射付近(ハイライト部)で緻密な柄が浮かび上がり,それ以外の部分(フェース~シェード部)では漆黒になる必要がある。しかしながら,これを樹脂の単層で実現させることは困難である。そこで,光を透過・減衰させる「表層」と,光を反射・吸収させる「基材」に機能を分担させることで実現を図った(Fig. 4)。 材料からのアプローチとして,「表層樹脂」と「基材樹脂」に着目し,各層の樹脂の光学特性をコントロールすることで,「深みのある色合い」と「陰影感」の実現を試みた。基材樹脂については,光輝材を配合することでハイライト部での強い反射を実現し,それに加えて光吸収剤を配合することでそれ以外の部分での強い吸収を実現させた。基材に光輝材を配合することで耐衝撃性が大幅に低下するが,新開発エンプラにより,意匠性と機械物性を両立させた。表層樹脂については,樹脂自体を高透明にすることでハイライト部での透過を実現し,着色剤を高分散させることでそれ以外の部分での減衰を実現させた。 今回の意匠のポイントとなる基材樹脂の反射特性についてもう少し詳しく説明する。Fig. 5に,基材樹脂の着色処方のみを変えた3つのサンプルの受光角度と輝度の関係を

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