マツダ技報 2019 No.36
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ecnanmuLecnanmuL i i (3)工法からのアプローチ ■著 者■ -228- 4. 結果 5. おわりに 参考文献 Fig. 6 Luminance of Sample 1 [black] Fig. 7 Luminance of Sample 2 [metallic] Mirror-Finish Unevenness Sample Point Mirror-Finish Unevenness Sample Point Fig. 8 All-New Mazda3 工法からのアプローチとして,「金型仕様」と「2層成形条件」に着目し,金型内の樹脂流動をコントロールすることで,「深みのある色合い」「精緻感」「陰影感」の実現を試みた。 金型仕様として,金型内の樹脂流動解析を行うことで,樹脂の流れ方や圧力分布や温度分布などの検証を行い,金型内のゲート,ランナー,リブ形状などの最適化を行った。 更に2層成形条件として,今回開発した表層樹脂と基材樹脂のそれぞれの特徴と,表層と基材それぞれの成形不良のメカニズムをしっかり把握し,可塑化条件や射出条件などを最適化して,樹脂の熱劣化や金型流動中の樹脂のせん断力を抑制することで,成形不良を抑え,深みのある色合いと精緻感と陰影感を実現させた。 表層を形成するカラークリア層はまっすぐ光を透過・減衰させ,基材を形成するブラックメタリック層の表面に柄を刻み込み,入ってきた光を反射・吸収させることで,黒の精緻さと深みのある透明感の両立を可能にさせた。光が当たらないときは,精悍で艶やかな漆黒のパネル。しかしひとたび光を受ければ奥底から柄が浮かび上がり,精緻さと透明感が際立つなど,まるで光の移ろいでリニアに表情を変化させていくエクステリアの造形のように豊かな表情を見せるパネルを実現することができた。 本技術は,新型MAZDA3のシフトパネル,カップホルダーリッドパネルに採用しており(Fig. 8),CX-30のシフトパネル,カップホルダーリッドパネルにも採用している。 今後も引き続き「環境性」「商品性」「経済性」を高いレベルで両立できる新技術開発に取り組んでいく。 ンジニアリングプラスチックの開発,マツダ技報,一原 洋平 (1)一原:無塗装・高質感の内外装意匠部品用バイオエNo.33,pp.78-82 (2016) マツダ技報 No.36(2019)

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