マツダ技報 2019 No.36
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後1.0秒までを評価対象としていたが,操作を開始する0.5-232- 4. 実験結果 Fig. 6 Joint Angle in Anteroposterior Direction of Spine 速を行った過程のアクセルペダル操作量の時間経過をFig. 7に示す。 直進加速にあたりアクセルペダルを踏み込むために足首が動き始めた瞬間を基準つまり0.0秒とし,シートの仕様が異なってもアクセルペダル操作量が一定になり始めるアクセルペダル操作量だけを観察すると,アクセルペダル操作量が増加する傾きについて,シートの仕様違いによる差異はあるものの,線形性には顕著な差異が認められない。しかし「普通」と言われているシート仕様1は「アクセルペダルが踏み難い」「良い」と言われているシート仕様2は「アクセルペダルが踏み易い」という官能評価には普遍性があるため,実測値の観察の仕方や考え方を工夫する必要があると考えた。 と感じた仕様と,誰もが「普通」と感じた仕様を用意して,実機評価を試みることとした。 が,本稿で紹介する内容は基礎研究を対象としているため,外乱を最小とし人間が車両を運転する過程における運動する本質を抽出することを目的に,整備された試験路にて実験を行った。実験結果の中から代表的な走行モードとして加減速操作と旋回操作を選定した。 速を行った。直進加速にあたりアクセルを踏込むために必然的に動かざるを得ない右足周り以外に顕著な挙動を示した脊椎に着目し観察を行った。 当初の計画では,操作を開始する0.5秒前から操作開始秒前には既に加速Gに備えて前景姿勢をとっており,加速Gが抜ける操作開始から後5.0秒後には脊椎の関節角度が,ほぼ定常走行中の状態に復帰していることが確認されたため,全体像を把握することを目的に評価範囲を加速開始の関節角度の時刻歴変化を示す。 この中でシートの仕様に関わらず,加速開始0.5秒前には同量程度の前傾姿勢を取っていることに着目し,被験者に確認したところ無意識であったことから,本能的な加速Gに備えた予備運動を行っていると推察できる。 3.3 評価モード 市場でお客様に使って頂いている状況を対象にすべきだ4.1 直進加速 10km/h定常走行から30km/hまで,0.2G狙いで直進加1.0秒前から加速開始後5.0秒まで拡大した。 Fig. 6は,加速開始1.0秒前を基準とし脊椎の前後方向4.2 直進加速とアクセルペダルの操作量 10km/h定常走行から30km/hまで,0.2G狙いで直進加1.5秒間の右足首角度の変化量を示す。 Fig. 7 Relationship between Time and Right Ankle マツダ技報 No.36(2019)

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