マツダ技報 2019 No.36
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-243- 4.1 排気量最適化(ライトサイジング) 排気量は,低圧縮比コンセプトで実現した燃焼のリーン Fig. 7 Acceleration Performance from 3rd 30km/h Fig. 8 Acceleration Speed Per Accelerator Pedal (1) 排気量最適化(ライトサイジング) (2) 高応答インジェクタによる燃焼改善 (3) Diesel Particulate Filter再生制御 (4) 機械抵抗低減 NOx排出量の変曲点が,1.5Lは約210N・m,1.8Lは約270N・m付近である。実用使用最大負荷を1.5Lで走行したNOx変曲点以下での走行が可能となるため,走り方に依存Position 3.3 燃費性能 1.8Lは1.5Lで導入した冷却水制御バルブによる冷却損失Fig. 6 Fuel consumption 3.4 走行性能 1.5Lでも採用しているDE精密過給制御を本エンジンもFig. 7に3rd 30km/hからの全開加速性能を示す。1.5Lと前章で紹介した性能を実現するために,また,更に高いレベルで「走る歓び」と「優れた環境性能」の両立を狙うために採用した下記の技術について紹介する。 化及び低温化を維持したまま,エミッション性能を更に低減するため最適化を実施した。Fig. 9に1.5Lから2.2Lまでの排気量違いのエンジントルクに対するNOx排出量を示す。場合,NOx変化点以上のトルクを使用するためNOx排出量が急増し,NOxを浄化するために高価なエミッションシステムの追加が必要となる。一方,1.8Lで走行した場合,マツダ技報 4. SKYACTIV-D 1.8で採用した新技術 No.36(2019) 低減,高応答インジェクタによる壁面熱損失低減,及び燃焼期間短縮,可変ジオメトリーターボチャージャーの高効率化による混合気均質リーン化により熱効率の改善を図った。更に,機械抵抗の低減もあわせて,排気量アップしたにもかかわらず,同一トルクにてエンジン燃費率を改善した(Fig. 6)。 これにより,実用走行に近いとされる世界統一試験サイクル(以下WLTC)ベースの市街,郊外,高速走行の各走行モードにおいて1.5L比3%前後のCO2改善を実現した。 採用している。DEのトルクは燃料噴射量調整により制御されるが,排気エミッションや煤低減の観点から排気酸素濃度を制御するため発生トルクは制約を受ける。 そこで加速中のEGRガス流量と可変ジオメトリーターボチャージャーを最適に制御することで,加速初期において早期にトルク上昇させることを実現した。また,排気量を増やしたことや,高効率の可変ジオメトリーターボチャージャーを採用することで,加速後半においてもEGRを導入したまま,高い加速度G[m/sec2]を実現している。 比べて,加速初期のGの落ち込みを改善し,伸びのあるリニアな加速性能を実現した。更に,EGR導入によるNOx排出量低減と,噴射量やEGR制御による排気酸素濃度制御での煤改善を同時に実現し,環境性能を向上させている。 また,過渡トルクの制御性を改善したことでFig. 8に示すように,アクセルの踏み分けに対するリニアリティを実現した。 これらにより操作に対する実際の車両挙動がドライバーのイメージと一致(予見性が向上)することで,意のままの走りを実現した。

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