マツダ技報 2019 No.36
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Fig. 14 Combustion Gas Temperature at 15 Deg. ATDC -245- に15deg.ATDCにおける燃焼ガス温度の3D-CFDの図を4段噴射の1.5Lと比較して,6段噴射の1.8Lはキャビティ SKYACTIV-D 1.8 1.5L 1.8L の1.5Lと1.8Lの噴射パターン及び熱発生率を示す。Fig. 14Fig. 13 Heat Release Rate Compared with 1.5L SKYACTIV-D 1.5 Pressure Levelを3dB改善した。 4.3 Diesel Particulate Filter再生制御 走行時にDiesel Particulate Filterに捕集した煤を高温のFilter再生燃焼時の排気ガス流量を増やし,多量の高温ガFig. 15 Comparison of Regeneration Time 4.4 機械抵抗低減 一般的に排気量を増やした場合,主運動系部品の重量と1.8Lでは,ピストン圧縮高さの低減と薄肉化,コンロッFig. 16 Reduction in Mechanical Friction で燃費悪化が顕著になる。そこで1.8Lでは,実用燃費の改善を目的として,Diesel Particulate Filter昇温時間の短縮及び堆積した煤の燃焼を効率化することで,再生時間を減した(Fig. 15)。昇温時間の改善は,Diesel Particulate スをDiesel Particulate Filterに流入させることで実現した。煤燃焼速度の効率化は,Diesel Particulate Filter内部の温度と煤量を分割モデルとし予測することで,効率的に内部の煤が燃焼できるように改良することで実現した。 運動速度が増加し慣性力が増大するため,機械抵抗は増加する。 ド小端テーパー角増大と小径ボルトの採用(Fig. 16),クランクカウンターウェイト配置の最適化などにより,主運動系部品の重量を1.5Lから排気量が増えたにもかかわらず約300g軽量化し,慣性力起因の機械抵抗を低減した。 更に,ピストンリングに非対称バレル形状の摺動面を採用することで20%の張力低減を実現したことと合わせて,同一排気量当たりの機械抵抗低減を実現した。 マツダ技報 No.36(2019) また,筒内の温度や圧力などの状態と噴射パターン及び燃焼の関係を明確にすることで,時々刻々と変わる筒内状態に応じた噴射パターンを選択,走り方によらずロバストにノック音を改善した。Fig. 13に1600rpm/Pe600kPaで示す。 トップ部の高温部の低減と,キャビティ内での壁面との断熱層が確認できる。この噴射パターンにより,煤やNOx同等で,燃費率を4%改善,ノック音の指標であるCylinder これらの燃焼コンセプトで7つの制御因子の中の,壁面熱伝達と燃焼期間を理想に近づけた結果,市街地走行などの低車速,軽負荷を多用するシーンではより静粛性を高めながら,力強い走りを求めるシーンでは,加速Gと調和するリニアなエンジンサウンドを低燃費とともに実現した。 排気ガスで燃焼するDiesel Particulate Filter再生制御は,排気ガス温度昇温のために通常よりも多くの燃料を必要とし,燃費が悪化する。特に,1回当たりの運転時間が短いユーザーについては,Diesel Particulate Filter再生が中断するたびに再昇温が必要となり,再生時間が長くなること

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