マツダ技報 2019 No.36
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Fig. 2 Breakthrough of the Contradictory Performance -248- 3. 駆動力制御システム構想 Fig. 1 Ideal Vehicle Behavior 2.2 背反性能のブレイクスルー アクセル操作に対する理想の車両挙動に対し,従来のる,あるいは水が出るタイミングが遅れると違和感があり扱いにくいと感じる。これをクルマに置き換えても同じであり,加速したいと思いアクセルを踏み込んだ際に思いどおりの加速を得られると扱いやすいと感じる。 アクセル操作に対する理想の車両挙動のイメージをFig. 1に示す。操作に対して遅れを感じない応答,操作に対してリニアな応答,ショックや振動(ノイズ)がない加速度,これらを具体化し人の特性に合った挙動を実現することで扱いやすい理想的なクルマ造りを目指した。 駆動力制御システムではレスポンスと振動・ショックの両立に課題がある。操作に対してリニアな応答を実現するためにレスポンスを良くすると不快な振動・ショックが発生する。また,トルクの入力を抑え振動・ショックを抑制するとレスポンスが悪化する。つまり,これらの性能はトレードオフの関係性にあり,この中で両立解を設定するのが通常の開発手法である。 新世代の駆動力制御システムではレスポンスと振動・ショックの各性能をブレイクスルーして高次元で両立できる状態とし,本来実現したいドライバー操作に対するリニアな車両応答の実現を目指した(Fig. 2)。 して“人馬一体”を一括開発で実現するため,目標の車両加速度を描き,駆動系システム特性に対してあるべきエンジントルクを常に指示する制御を構想した(Fig. 3)。この実現にはドライブシャフト(以下,D/S)の捩れ角を常に正しく把握する技術が重要となる。以下でこれらの詳細を説明する。 イールの回転運動とドライブシャフトの回転運動を表現した運動方程式を用いて目標車両加速度をD/Sねじれ角に変換し,その目標D/Sねじれ角に実D/Sねじれ角を追従させることで目標の加速度を実現する制御を構築した 3.1 駆動力制御構想 新世代の駆動力制御では,背反性能をブレイクスルーFig. 3 Concept of the Driving Force Control 3.2 目標ドライブシャフトねじれ角制御 描かれた目標を実現するために,車両の前後運動とホ(Fig. 4)。 Fig. 4 Target D/S Torsion Angle Control マツダ技報 No.36(2019)

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