マツダ技報 2019 No.36
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6.2 フィードバック制御 F/B制御は,オブザーバによる推定D/Sねじれ角を用い -251- F/F制御は,エンジントルクを入力,D/Sねじれ角を出6. 制御設計 7. 駆動力制御システムの効果 D/Sのねじれ角を推定できることを確認した。 Fig. 14 Experiment of Estimated Torsion Angle 6.1 フィードフォワード制御 Fig. 15 Model of the Feedforward Control たPID制御である。PID制御のF/Bゲインについて,理論Model Control:以下,IMC)を適用した。 IMCはF/Bゲインの導出にプラントモデルを使用する Fig. 16 Internal Model Control(IMC) Fig. 17 Bode Plot of Closed-Loop Transfer Function 的な制御器設計をするため,内部モデル制御(Internal 制御である。また,目標の成形・モデル化誤差等を考慮したロバストな設計になるよう制御系にフィルターを有している。F/F制御とF/B制御で構成される2自由度制御系のIMCを設計するとFig. 16となる。F/F制御は駆動系逆モデルにフィルターをかけたものをゲインとして使用し,F/B制御はFig. 16の青枠のようなゲインとなり,フィルターとF/B用プラントモデルから構成されるため,モデルを与えれば,調整するパラメーターはフィルター時定数のみである。 通常,PID制御はP/I/Dゲインの3パラメーターがあり, 3パラメーターを試行錯誤で調整すると大変時間がかかるが,今回,IMCゲインをP/I/Dゲインに等価変換し,調整パラメーターをフィルター時定数のみとした上で,周波数特性を考慮して時定数設定することで,試行錯誤することなしにP/I/Dゲインを決定した。Fig. 17にフィルター時定数と制御+プラントの周波数特性の関係を示す。時定数が小さいほど,ゲインの損失が少なく,応答性が高いことを示している。本システムでは応答性を重視し,時定数を小さく設定した。 最後に,今まで説明してきた駆動力制御システムの代表的な効果を紹介する。加速シーンと発進変速シーンについて現行制御と新制御の比較をFig. 18,19に示す。現マツダ技報 No.36(2019) 実車にて推定精度の良否を判断するため,D/Sにトルクメータを取り付け,P軸回転センサーの取り付けに対応したミッションケース及びハーネスを試作し検証車両を製作した。また,PCM制御にP軸回転センサーを使用可能とする変更を織り込んだ試作ソフトウェアを作成して実車にて検証した。推定精度の検証にあたり,ねじれ量と伝達トルクを計測した。 検証結果をFig. 14に示す。机上検証時と同様の精度で 駆動力制御システムの制御設計は,モデルベースト制御を採用し,実機適合を大幅に低減した上で,制御目標への追従性を改善した。ここでは,その内容を紹介する。 力とした駆動系システム特性モデルの逆モデルで構築した(Fig. 15)。

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