マツダ技報 2019 No.36
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*1~5 電子基盤開発部 -253- (Connected:コネクティッド化,Autonomous:自動 論文・解説 1. はじめに システムからハーネス設計まで一気通貫した エレキシステム開発 Summary Key words : Vehicle Development, Computer-Aided Design (CAD)/Computer Aided Engineering, Seamless Electric System Development from System Design Tool/Design Modeling, Design Simulation/Design, Electronics And Control, Wiring Harness, Electric Circuit/Electronic Circuit, Model Based Development, Efficiency to Harness Design 要 約 We established a seamless development process (from system design to harness design without the division of the department) and the electric circuit model for one vehicle with an eye to putting it into practical applications for the electric system. This article introduces the efforts we made in applying this development process to the mass-produced models, which started with new generation vehicles, and future prospects. Electric:電動化)というキーワードで表される新たな変Electronic Platform Development Dept. 竹本 明*1 Akira Takemoto 戸手 孝則*4 Takanori Tode 安原 潤紀*2 Junki Yasuhara 戸井 隆史*5 Takashi Toi 髙田 純司*3 Junshi Takata の効率化をねらい,コモンアーキテクチャー開発に取り組んでいる。開発の効率化としては,部品共通化が一般的であるが,コモンアーキテクチャー開発は部品共通化とは異なり,特性の数理モデルを共通化する開発である。その理由は,車の設計から製造までの開発工数を俯瞰すると,個別に適合させるキャリブレーションの工数削減が最も重要と考えているからである。エレキ領域でのコモンアーキテクチャー開発の具体例として,EMC発を取り上げて説明する。アーキテクチャー設計段階では,車として達成したいEMC性能に対し,必要な特性の数理モデル化を行い,その特性を各部品に適用できる状態にする。その後の工程となるシステムからハーネス開発段階において,特性レンジに合せた開発を行う(Fig. 1)。 この開発を実現するためには,量産開発工程の効率化を行い,リソースをアーキテクチャー開発へ移す必要がある。その最初のステップとして,量産開発段階で上流(ELECTRO MAGNETIC COMPATIBILITY)性能開 マツダ技報 No.36(2019) マツダが目指すエレキシステム開発を実現するため,部門の垣根を越えてシステム設計からハーネス設計まで一気通貫で行う開発プロセスを構築し,車一台の電気回路をモデル化した。新世代商品群から量産開発に適用した全社レベルでの取組内容と将来展望について報告する。 自動車業界は,高機能化によりエレキ部品の増加,複雑化の一途をたどっている。さらに近年では『CASE』運転化,Shared&Service:シェア&サービス化,革期へ突入しようとしている。例えば,自動運転では自律した安全性を確保するために,車一台に搭載されるセンサやカメラは飛躍的に増え,また,電子制御に異常があった場合の電子制御機能の冗長化(二重系)が求められる。その結果,エレキ部品の増加や複雑化は更に加速することが予想される。このような環境下,従来どおりの開発を行っていては,リソース不足に陥り,高品質で安価で軽量なエレキ部品をタイムリーに商品化する事は困難である。 マツダでは,このような状況を回避するために,開発41

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