マツダ技報 2019 No.36
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(1) (2) (3) (4) -254- (1)ハーネス設計部門は,システム設計部門が作成する(2) 複数のエレキシステム図に登場する部品は,相互(1)設定条件の確認作業は,送り/受け取り側とも,こ(2)複数のエレキシステム図に登場するエレキ部品は,(3)エレキシステム図は紙面による情報伝達を想定して(Fig. 2)。 Electric Architecture Design Electric Schematic Design Wiring Harness Design Fig. 1 Ideal Car Electronics Development Flow Function distribution Distribution with a range of factors to satisfy functions Select parts freely within the range Connect only (No Verification) Wiring Harness drawing 工程がモデル化した電気回路情報を下流工程のハーネス設計が一気通貫で活用できる開発基盤とプロセスの構築に取り組んだ(Fig. 1の赤囲)。 本稿では新世代商品群より量産適用したその取り組み内容と成果を紹介する。 コモンアーキテクチャー開発を実現する手段として,マツダはMBD(Model based development)による開発を推進している。 エレキシステム開発のソフト領域では制御仕様をモデル化し,プラントモデルや環境モデルと連結したMBDが進んでいる。一方,ハード領域ではエレキシステム図という情報伝達媒体を用いた開発が行われていた。エレキシステム図とは,システム設計部門が,電気的な仕様や,接続情報,車種/仕向けごとの設定条件を自然言語(各設計部門の文化や歴史的な背景から使用されている言語)を用いて作成し,関連する部門へ展開/共有するものである。システム図を受け取ったハーネス設計部門は,人海戦術により,約80種のエレキシステム図の間の整合取りを行いながら,数千に及ぶ回路をつなぎ合わせていた。そして,各機能と車種仕様ごとに回路の品質を保証するために,約30項目の電気的な性能検証を行っていたその結果,従来のエレキシステム開発は,量産開発工程において以下の慢性的な問題を抱えていた。 (3)エレキシステム図の情報は,ハーネス設計用の別の(4)回路をつなぎあわせる作業に多大な工数を要して(5)回路の電気的な性能検証に多大な工数を要している。 Fig. 2 Conventional Process and Problem 3.1 問題点の分析 2章で述べた(1)~(5)の各問題点に対して分析をエレキシステム図を理解する作業(不明点確認),特に設定条件の確認に多大な工数を要している。 に不整合(同じ部品なのに仕様が異なる)が生じ,整合取りに多大な工数を要している。 媒体に転記が必要で,更にその確認に多大な工数を要している。 いる。 行い,真因を以下のとおり特定した。 れまでの慣習で業務の一部ととらえており,双方の問題認識が低く,表記方法が見直されていない。 仕様の確定や更新時に,全てのエレキシステム図に情報を反映する必要がある。しかし,反映漏れや反映遅れにより,不整合が生じている。 おり,判読できれば良く,データ形式と作成手段に決まりがない。 2. 従来のエレキ開発プロセスと問題点 マツダ技報 3. 問題点の分析と解決への課題 No.36(2019) (5)

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