マツダ技報 2019 No.36
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4.課題に対する施策 (4)車一台の回路をモデル化できる基盤構築。 (1)ネーミングの統一 (2)入力条件の設定 -255- (4)ツールの制約により車種仕様ごとに回路設計を行っ(5)これまでの回路検証作業は,人海戦術に頼った手作(1)マツダユニークなモデル化プロセス (1)エレキシステム図の表記統一,ルール化。 (3)システム設計からハーネス設計まで一気通貫でモデ 4.2 エレキシステム図の作成環境構築 (4)情報の資産化 4.3 一気通貫プロセスの構築と運用 ツールによるモデル作成工数の極小化を念頭に置いた(2)ライブラリ登録の簡易化 (3)関係者への方向付け (4)教育体制 3.2 問題解決への課題 3.1の分析を踏まえ,各問題を解決するために取り組む(2)抜け漏れ,不整合を抑制するエレキシステム図の作(5)効率的な回路検証手段の構築。 4.1 エレキシステム図の標準化 DOOR SW/AJAR SW等の名称を統一) 。 (2)部品の設定条件/表記方法のルール化 (1)システム図のモデル化 (3)部品情報の一元管理 マツダ技報 新される仕組み)を活用した。 作成したエレキ部品(モデル)を他プロジェクトへ継続して利用するために,『ライブラリ』機能を活用した。 プロセスの構築を行った(Fig. 3)。 エレキシステム図のモデルは,エレキ部品とその接続情報が重要となる。部品設計担当が複数のシステム図へ部品情報を転記することは煩雑なため,新たに部品情報を表す『デバイス図』を設定した。そして,全てのエレキ部品に対して最初にデバイス図を一品一様で作成し,『共有』の設定を行うこととした。デバイス図の完成後,システム設計担当は『共有』されたデバイスの中からエレキシステム図に記載したいデバイスを選択するだけでよく,その後,接続情報を入力し,完成させるプロセスとした。 部品情報(デバイス図)は,情報をライブラリに登録することでモデル化が完了する。しかし,『ライブラリ』は全てのエレキシステム図に影響する重要なデータベースであるため,登録や更新に細心の注意が必要となる。また,ライブラリ作成工数は部品設計担当にとって負担となる懸念があったため,登録や更新をシステム的にサポートできるプラグインソフトウェアを開発した。誤入力を防止する機能を備えたエクセルシートに情報を入力すればデータがコンバートされ,ツールにインポートさせるソフトがその一例である。 なお,ライブラリへの登録は運営事務局が審査後に行うことで,ライブラリ健全性を担保した。 統一ツールによる情報伝達を実現するには,システム設計部門及びエレキ部品設計部門に,エレキシステム図のモデル化を受け入れていただく必要がある。しかし,多くの部門では,慣れないツール(回路CAD)を使用する新しい取り組みに対しての不安があり,受け入れてもらうことの難易度が高かった。そこで,開発部門を横断した会議での発表や,各部門に出向いての紹介活動,実演を繰り返すことで,理解を深めて頂いた。 各設計部門の担当者は,これまで回路CADに触れる機会がほとんどなかったため,運用に向けて半日~一日コースの教育カリキュラムを組み,数週間かけて社内関係者全員へ教育を実施した。なお,新たな担当者に対しては,定期的に集合教育を実施した。 No.36(2019) ており,マツダの理想とする全車種仕様を一括した車一台の回路が作れない。 業に近いツールで対応できていたが,回路数の指数関数的な増加に伴い,検証工数も指数関数的に増加している。 べき課題を以下のとおり設定した。 成環境構築。 ルを運用するプロセス。 3章で述べた課題(1)~(5)に対して4.1~4.5の施策を行った。 エレキシステム図には,図面名称をはじめ,エレキ部品(デバイス)やコネクタ等,種々の名称が使用される。各名称の命名ルールを作り,登録制としたことで,類似する名称を統一した(例 BONNET SW/HOOD SW,設定条件を,自然言語から社内公用語となる装備ディクショナリの名称を用いて表記するルールとした。 エレキシステム図をモデル化するツールは,既にハーネス設計で実績があり,抜け漏れ,不整合を抑制する機能を有しているシーメンス社製 『Capital』を選定した。そして,このツールを上流工程のシステム設計部門,及びエレキ部品設計部門へ導入した。 設定条件やデバイス名等の統一した名称を,全てツールの辞書に登録し,その名称のみエレキシステム図に記載できる仕組みを作った。 複数のエレキシステム図に登場するエレキ部品の情報一元化を,ツールの『共有』機能(マスター情報がアップデートされたら,自動的にシェアリング先の情報が更

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