マツダ技報 2019 No.36
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-19- の変化で拡大縮小する。また時々刻々と環境条件が変化す Fig. 11にSPCCIの熱発生率を示す。適度に高圧縮比化し3. SPCCI燃焼の紹介 Fig. 8 Technical Problem of HCCI Fig. 9に示すように広い運転領域で圧縮着火させるには,Fig. 9 Compression Ratio Required for Autoignition HCCIの課題は,圧縮着火燃焼範囲を拡大しつつ,CIとSIの燃焼の切り替えをスムーズに行うことである。 Controlled Compression Ignition」,この制御技術がとCI領域の切り替えが必要であることから,HCCIエンジFig. 10 Breakthrough Solution for CCI Fig. 11 SPCCI Concept 間時をのぞくほぼ全域で,圧縮着火CI燃焼の実現を可能とした。以下このブレークスルー技術コンセプトを説明する。 よるベース圧縮比16.3に対し,スパークプラグの点火による膨張火炎球が,第二のピストン(エアピストン)のように,燃焼室内の混合気を追加圧縮し,瞬時にCIに最適な温度圧力を形成する,いわば「可変圧縮比機能」を実現している。 ておけば途中でCIが起きる,つまり初期火炎伝ぱに十分な空燃比を選べばSIを使ってCIをコントロールすることが可能になる。更にFig. 12に示すように,SI燃焼,CI燃焼の比率をコントロールすることで,エンジンの運転状態に応じて制御されたSPCCI燃焼を実現している。 SKYACTIV-XではFig. 10に示すようにハードウェアにマツダ技報 No.36(2019) る自動車に適用するには,過渡時やさまざまな環境下において,安定してSI燃焼⇔HCCI燃焼の切り替えが必要となるが,これらの制御が非常に難しいため,いまだに実用化に至っていないと考えられる。 また,圧縮着火の制御因子である温度圧力を直接制御するのはほぼ不可能である。圧縮比で制御しようとすると,圧縮比15-30という大幅な圧縮比の変化が瞬時に必要となるが,実現できる機構は現時点では存在しない。 つまりCIを制御(コントロール)する技術「CCI=ブレークスルーであり,マツダが保有する独自技術のポイントになる。 全域で安定した燃焼を実現するためには,どうしてもSIンとはいえ, スパークプラグをもつ構造とすることを選択した。「スパークプラグを圧縮着火の制御因子,コントロール手段として活用する」という考えにより,一部の冷

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