マツダ技報 2019 No.36
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noubirtnoC ssa M 12345 r eP it-275- 3.2 性能間の影響度水準の統一化 各性能に対する各変数の影響度を同じ水準で比較でき𝑆𝑗 はx のサンプルの標準偏差,𝑆𝑦 はy のサンプルの標準偏差である。標準化のイメージをFig. 7に示す。左 標準化処理前後の影響度の結果をTable 1,2に示す。𝑆𝑗𝑆𝑦′∙ 4. 商品開発への適用事例 Fig. 6 Contribution per Mass Crashworthiness Standardization Standardization Vehicle Dynamics Fig. 7 Standardization Table 1 Contribution of Vehicle Performance Table 2 Standardized Contribution of Vehicle Performance ,𝑗=1,2,…,𝐷 (4) この値をそのまま解釈すれば,影響度の大きい性能のみに着目する可能性がある。このように,単純に影響度を求めるだけでは,性能間を定量的に比較・評価することができない。これに対し,式(4)を用いて,Table 1の偏回帰係数を標準化したものがTable 2であるが,Table 1と比較して各性能間の影響度の水準が統一化されていることが分かる。この状態であれば性能間を同じ水準で比較・評価することができ,影響度の大きさによって優先度を付け構造検討ができるため,新たな構造仕様の発想が期待できる。 本章では,本設計支援技術を商品開発に適用し,軽量化構造仕様の導出に貢献した事例について報告する。設計変数は最大104変数(184部品の板厚),性能評価項目は,衝突,車体剛性,NVHなど129項目である。なお,設計変数として取り扱う部品には,フロントフレーム,サイドフレーム,リアサイドフレーム,ルーフレールなど車体骨格部品が主に含まれている。 適用した結果の一部を抜粋したものをTable 3に示す。セル内の色は各性能に対する設計変数の影響度を表しており,赤は板厚を上げると性能が向上するもの,青はその逆で板厚を上げると性能が悪化するものを表している。マツダ技報 ′′=𝛽𝑗𝛽𝑗No. 36(2019) るようにするため偏回帰係数を標準化する。標準化とは,サンプルデータを平均が0,標準偏差が1のデータに変換する操作のことをいい,以下の式で与えられる。 側には標準化前,右側には標準化後の衝突,車体剛性のサンプル分布の例を示している。左側では衝突,車体剛性の両性能の分布が異なるため,サンプルから求められる影響度をそのまま比較できない。一方,右側のようにサンプル分布を同一にすることで,求められる影響度の水準を同一に扱えるので,相対的に比較することができるようになる。標準化は,一般的に単一性能における設計変数の係数の水準を揃え影響度を比較するために用いられるが,今回,サンプル分布の同一性に着目し,性能間の影響度の比較に応用したものである。 性能の応答値は,衝突,車体剛性,NVHの評価指標の一部を抜粋したものである。表中の値は各設計変数の性能に対する影響度を表しており,“-”は,性能に対して影響がないことを意味している。Table 1より,各性能の単位系が異なると各評価指標の値に二ケタ以上差がある。

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