マツダ技報 2019 No.36
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■著 者■ -276- (1)藤川智士:マツダの目指すモデルベース開発,マツ参考文献 Vehicle Performance B C D E 5. おわりに 小平 剛央 色の濃淡は影響度合いを示しており,濃いものほど影響度が高く,無色のものは影響がないものである。設計変トレードオフの関係があることを意味している。これが軽量化を阻害している要因である可能性がある。このように各評価項目を横並びにし比較することで,性能間の関係を把握でき,的確な意思決定が可能になり軽量化構造の導出が効率的に行える。 また,本結果は質量効率として影響度を算出しているため,単一性能内だけでも質量増加を抑えながら性能を向上させる部品の発掘にも有効である。例えば,性能項能向上するもの,つまり軽量化と性能向上を同時に達成できるもので積極的に採用したい設計変数である。 更に本適用においては,これまで設計者が持っていた知見を裏付ける結果とは別に,これまで考えていなかった新たな知見も見つかっており,新知見発掘にも本手法は有効であると考える。 本論文では,従来の車体構造最適化技術(MDO)(2)では,困難であった軽量化視点での設計者支援技術として,設計変数の影響度を複数性能間で統一的に比較・可視化分析できる寄与分析手法を開発した。本手法では,影響のある設計変数の選択手法の工夫,影響度の質量効率への変換,複数性能間で統一的に比較できる標準化計算,それらを設計者が直感的に理解する可視化手法を考案した。 実際の商品開発へ適用した結果,これまで設計者が持っていた知見を裏付ける結果とともに,新たな知見も見つかり,今後,設計知見の検証や発掘も期待できる。 しかしながら,実際の商品開発のような設計変数,性数3のように性能間(AとE)で赤,青が存在する場合は,目Fの設計変数6は,青で示されており,板厚を下げて性Table 3 Contribution of Vehicle Performance Design Variable A 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 (2)小平剛央ほか:複数性能を扱う車体構造最適化手法(3)https://www.amstat.org/newsroom/pressreleases/P-ValueStatement.pdf F 能評価項目ともに,100を超える場合,設計者の分析負担が大きいことも新たに分かった。 今後も,設計者の分析負担の低減技術や,本論文では割愛したが,本手法は,一部非線形性の強い性能の影響度計算に課題が残っており,それらの課題解決のための技術開発にも取り組んでいく。 ダ技報,No.31,pp.44-47 (2013) の開発,マツダ技報,No.29,pp.104-109 (2011) 釼持 寛正 マツダ技報 No. 36(2019)

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