マツダ技報 2019 No.36
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-279- Disc Model (b) Sample Hollow Particle Powder Composite Material 3.1 自動車用ゴム材料について Table 1 Curve Fitting Results Phase 1 1 2 Average Diameter(nm) 90 78 10 Fig. 5に,解析で得られた円板サイズをTable 1に示す。 Fig. 3 SAXS Profiles of Hollow Particle Powder (Unprocessed) and Composite Material Fig. 4 TEM Image of Hollow Particle (a) and Image of Fig. 5 Curve Fitting Analysis of SAXS Profiles with Disc Model, (a) Hollow Particle Powder (Unprocessed) and (b) Composite Material マツダ技報 3. 自動車用ゴム材料の硫黄架橋状態分析 未処理の中空ナノフィラー粉末では,円板直径約90nm(厚さ約10nm)でよいフィッティングが得られた。この結果はTEMでの観察サイズとよく一致している。なお,フィッティングと実験の曲線はq=0.05より低q側では一致せず,実験の曲線が立ち上がる傾向にあることから,中空ナノフィラーは凝集していると解釈できる。 次に,複合材料では円板の直径約80nm及び10nmの2つの成分を用いることで,よいフィッティング結果が得られた。サイズの小さい2つ目の成分を必要とすることから,複合材料中に中空ナノフィラーの破片が存在していると考えられる。また,複合材料の散乱曲線は中空ナノフィラー粉末と同様にq =0.05より低q側で立ち上がる傾向にあることからフィラーは凝集していると判断される。 本結果のように,比較的複雑な形状の添加粒子を分散させた試料であっても,小角X線散乱法での測定とデータ解析用形状モデルの考慮により,添加粒子について形状的特徴と凝集の情報を取得することが可能である。小角X線散乱法は,ポリマー中のフィラー分散評価の他に,ゴム中カーボンブラックの分散,ポリマーの相分離,溶液中での粒子分散など,多様なサイズと形状のフィラー分散評価に適用している。 自動車用ゴム材料の多くは振動減衰の機能が求められ,使用環境に応じて耐熱性,耐油性などとの特性両立が必要である。ゴムの機械的特性は巨大なポリマー間をつなぐ架橋構造の形成と分子鎖の絡み合いによって発現する。天然ゴムを始めとして多くの架橋形成には硫黄が用いられ,外的要因による機能低下を抑制するために多様な劣化防止の添加剤が用いられる。高機能かつ長寿命なゴム材料を効率的に研究開発し実現するためには,架橋構造形成と変化のメカニズムを明らかにすること,更に,ゴム特性と紐付けたモデル構築が必要である。硫黄架橋を定量的に評価する分析解析手法としてX線吸収分光法を用い,ゴム材料中における硫黄の化学状態,及び,加熱試験によるその変化を評価した結果を紹介する。 No.36(2019)

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