マツダ技報 2019 No.36
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*4~8 車両開発本部 *1~3 技術研究所 *9~11 技術本部 -283- 論文・解説 1. はじめに Development of Damping Technology for Car Body 構造接着を用いた車体振動減衰技術の開発 Using Structural Adhesive Bonding stiffener and damping weld-bonding) and structural adhesive with high damping property applied for body frames have been newly developed. From the result of basic verification of test frame using this structure, it has confirmed that vibration of test frame decreased in effect of improvement of not only stiffness but damping. In addition, from the result of verification using car body and test car, it has confirmed that vibration of body decreased, and that road noise decreased up to 5 dB at driver position during driving at 100 km/h. Technical Research Center Production Engineering Div. 要 約 山本 研一*1 Kenichi Yamamoto 吉田 智也*6 Tomoya Yoshida 片岡 伸介*11 Shinsuke Kataoka Summary Aiming at weight reduction, ride comfort and less road noise, damping control structures (damping Key words : Vibration, Noise, and Ride Comfort, Body Structure, Adhesive, Joining, Damping 中川 興也*2 Kohya Nakagawa 三好 雄二*7 Yuji Miyoshi Katsuya Himuro Vehicle Development Div. 渡邊 重昭*4 Shigeaki Watanabe 鍵元 皇樹*9 Koki Kagimoto 小橋 正信*5 Masanobu Kobashi 八巻 悟*10 Satoru Yamaki 位置やパネル形状を研究した報告がなされている(1)(2)(3)。これに対し今回,より起振源に近く振動の伝達系である車体フレームを対象とした減衰制御構造(減衰節構造,減衰ウェルドボンド接合),及び本構造に使用する振動減衰性に優れた構造用接着剤(減衰接着剤)を開発し,新型MAZDA3に採用した(Fig. 1)。 減衰制御構造のひとつである減衰節構造をFig. 2に示す。本構造は,車体フレームの断面変形を抑制し剛性を向上するのと同時に,断面変形部位に高減衰材料(減衰接着剤)を配置しそこに歪を集中させ,振動を低減するものである。 マツダ技報 氷室 雄也*3 伊藤 司*8 Tsukasa Ito No.36(2019) 車両の軽量化と乗心地の向上,ロードノイズ低減との両立をねらい,振動の伝達系にあたる車体フレームを対象とした減衰制御構造(減衰節構造,減衰ウェルドボンド接合),及び本構造に使用する振動減衰性に優れた構造用接着剤を新たに開発した。減衰節構造について,同等質量の簡易フレームを用いて基礎検証した結果,剛性に加えて減衰性が向上し,高い質量効率で振動が低減することを確認した。実車を用いた効果検証では,車体の振動が低減したとともに,100km/h走行時のロードノイズが運転席で最大5dB低減することを確認した。 近年,CO2排出量低減に向けて,更なる車両の軽量化が必須となる一方,商品力向上のため,操縦安定性や乗心地の向上,ロードノイズの低減が求められている。 従来,上記の性能向上につながる車体の振動抑制には,補強部材の追加や板厚増などの剛性向上の手法が用いられてきたが,質量が増加するデメリットがあった。そこで,振動の制御因子である剛性に加えて減衰性に着目し,これを車体に積極的に付与することで,振動低減の質量効率を高めることを考えた。減衰性の活用はこれまで,振動の応答系である車体パネルを対象に,制振材の施工46

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