マツダ技報 2019 No.36
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(2) 損失係数 Fig. 13 Relation between Young’s Modulus of Structural 次に,100km/h走行時での運転席の音圧レベルをFig. -286- をFEM解析した結果を示す。接着剤の損失係数が0.3あ2章の結果から,減衰節構造はフレームと節の3面を(Fig. 2参照)。したがって接着剤の剛性の目標は,フ3. 減衰接着剤の開発 Adhesive and Inertance of Frame Fig. 11に示す。減衰節のない車両(a)に対して,減衰節をFig. 11 Comparison of Noise Transfer Function by Suspension at Driver Position of Test Cars 12に示す。減衰節構造を配置することで,音圧レベルがFig. 12 Comparison of Road Noise of Test Cars 3.1 接着剤の開発目標 (1) ヤング率 SW,残りの1面を減衰接着剤で接着する構造とした生した振動がサスペンションを介し,車体のフレームを伝ぱして,キャビン内に音として放射されることで発生する。伝達系である車体フレームの振動特性を改善することはロードノイズ改善において有効であり,今回の減衰節構造による効果を確認できると考えた。 まず,台上加振での評価を実施した。ロードノイズの主要経路をなすサスペンション取付け点での音響感度を入れた車両(b)は,ロードノイズ域での音響感度のピークが低減している。 最大で5dB低減できることが確認できた。 レームの静ねじり剛性が,フレームと節の4面をSWした場合と同等となるときのヤング率の値とした。Fig. 13に,SWした場合の静ねじり剛性と等価であることが分かる。Adhesive and Torsion Stiffness of Frame Fig. 14 Relation between Loss Factor of Structural 3.2 材料設計の考え方 減衰性の高い構造用接着剤を実現するための材料設計フレームと節の4面をSWした場合のフレームの静ねじり剛性と接着剤のヤング率との関係をFEM解析した結果を示す。接着剤のヤング率が100MPaあれば,節の4面をこのことから,接着剤のヤング率の目標値を100MPaとした。 接着剤の減衰性の目標値は,減衰節構造で使用した時に,フレームの1次ねじりモードの振動レベルが半減するときの損失係数の値とした。Fig. 14に,フレームの1次ねじりモードの振動レベルと接着剤の損失係数との関係れば,振動レベルが半減することが分かる。このことから,接着剤の損失係数の開発目標を0.3以上とした。 の考え方を以下に示す。一般的に,ヤング率と損失係数はトレードオフの関係にある。そこで,複数の樹脂を配合することで,幅広い温度域で減衰性を確保しつつ,フィラーの形状を選択することでヤング率を制御した。 マツダ技報 No.36(2019)

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