マツダ技報 2019 No.36
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2.2 全負荷での要求圧縮比 他方,Fig. 2から,機関速度2000rpm 全負荷BMEP1300kPa-25- 2.3 燃焼課題のまとめ 部分負荷からの圧縮比要求と全負荷からの圧縮比要求は Fig. 3 The History of Compression Ratio Improvement 2. SKYACTIV-Xにおける燃焼課題 Fig. 1 Schematic of the SPCCI Combustion Concept and the Typical Heat Release Curve 2.1 部分負荷での要求圧縮比 火花点火伝ぱ燃焼に頼らないHCCI(Homogenous Charge Compression Ignition)燃焼では圧縮上死点付近Fig. 2は圧縮上死点にて自己着火を発生させるために必要2000rpm部分負荷BMEP200kPaにおいては20程度の圧縮比SKYACTIV-Xでは複雑な可変動弁系を採用せず,圧縮比Fig. 2 Required Compression Ratio for the Auto-ignition at Fig. 4 Conflict in Compression Ratio Requirements Compression TDC 抑制 エンジンSKYACTIV-G にて既に圧縮比14を実用化している(Fig. 3)。しかしながら,部分負荷での圧縮自己着火燃焼で必要とされる高い圧縮比を採用するためには,これまでに開発したノック抑制技術に加えて,さらなる新しい方策を導入することが必要であった。 相反する。圧縮自己着火を応用する部分負荷性能と全負荷性能を両立させることが最大の燃焼課題である(Fig.4)。 マツダ技報 No.36(2019) 一方,高圧縮比を採用した際に問題となる全負荷での異常燃焼を抑制することができた。合わせて,部分負荷での自己着火時期制御の課題をシンプルな構成で克服することが可能となった。 本報では部分負荷並びに全負荷で採用した,SPCCI燃焼をどのように実現させたかを詳述するとともに,SPCCI燃焼で得られた性能諸特性を報告する。 において自己着火に至らしめるために,内部EGRを使用しない場合,高い圧縮比を要求することが知られている(1)。 な有効圧縮比を計算で求めたものである。例えば機関速度が必要であることがわかる。圧縮比をこのような高い値から下げようとする場合には,圧縮開始温度を上げるために内部EGRを利用する必要があり,任意量の内部EGRを導入するための高度な連続可変動弁系が必要となる。を高める方策を採用することとした。 においては,圧縮比約15にて点火せずに圧縮自己着火することがわかる。このことはノック等の異常燃焼なく全負荷を運転できる圧縮比と,部分負荷で圧縮自己着火燃焼を活用できる圧縮比との間に大きな乖離があることを示している。 近年部分負荷での高い熱効率要求から,ガソリンエンジンの圧縮比は上昇傾向にある。マツダでは複数のノッキング抑制技術(2)を投入することによって,自然吸気ガソリン

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